pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

墓標

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墓標


望郷とは喪失への慟哭

もう戻ることはない
戻る望みを喪失したエレジーはどう歌おうか

日々のささやかな優しい喧嘩や
諍いさえ手に負えず苦笑い
ましてや一人立ち尽くす
久遠の汚染国
望郷とは喪失への慟哭
帰らざる故郷

また夏が巡り来ての廃虚
静まり返る油照りの故郷
緩慢に過ぎる死
精神の廃虚

もう戻ることはない
阿珍の草笛も聞こえない国
廃虚たる故郷
そんなエレジーはどう歌おうか
いつか私でも歌える時が来るだろうか

木偶のように立ち尽くす
血に染まる廃虚の果てに海が広がる
その優しい潮騒を歌おうか

輝ける波濤の向こうに
新しい歌は聞こえるだろうか
新しい夢は叶うだろうか

歌え
刻め
言葉を望郷の新しい夢として
慟哭を笑顔に替えて

歌え
刻め
言葉を望郷の新しい夢として
己が墓標を波濤に沈め
慟哭を笑顔に替えて




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