pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

遠足や歌声響く萩の道

 

 散々、でもないが学校教育への制度的問題やら教員の問題やら、幾らでもあるが、辛抱強くお読み頂く皆様には心から感謝申し上げております。もはや亡国の瀬戸際、何を言っても無駄の遠吠えに過ぎない事は重々承知しております。それでも、もし若い人に僅かでも伝われば本望です。


 さて、掲題の句は私が28歳、埼玉の西部の新設された中学校の教諭として赴任した半年後、新入生の担任(一応の新任に即担任)として遠足の引率をした折の句です。

 近隣の山を巡って帰途についた畦道で、疲れの見える私のクラスの生徒に「歌でも歌おうか」と声を掛けたら、生徒たちはすぐ元気に歌い始めました。小学校のあどけなさが取れて中学生としての顔つきになってきた生徒たちでしたが、こうも素直に元気に歌い出すとは、内心驚きながら嬉しくなったものです。

 歌声は広々とした畑の畦道から秋の空に響きました。他の教師や校長も喜んで歩いていました。つられて他のクラスの生徒たちも歌い始めました。可愛かったですね。

 萩の花が途中咲いていた記憶があります。畑と萩、合わない気もしますが咲いていたのでしょう。


 中学校では張り切りすぎて身が持たなくなり高校を受け直した訳ですが、そのまま中学校を渡り歩いてもやはり保たなかったと思います。その中学校一校で辞めて良い思い出だけが残りました。

張り切りすぎて…どういう事かと言いますと、まず授業週24時間持ち、その中には無免許だった美術の授業も2時間含まれていました。自慢話で恐縮ですが(どうせ自慢話と取られるので)美術も美術教師の指導した作品より私の指導した生徒の作品がずっと良かったのです。まあ当然。国語にしても何にしても押し付けはダメなのです。他に会議が毎週何種類もあり放課後ほぼ毎日、補習も加え、それだけでも限界に近いのですが、若かったというのは無茶と同義語で、生徒に請われるまま、演劇部とバスケ部の顧問を引き受けて居ました。私は部活は生徒らが勝手にやるものだと、自分の昔の経験で判断したのが大間違い。

 バスケ部は校長が助けてくれました。今思い返しても立派な校長でした。彼は言いたい事を率直に述べる人物で地元教委、教師から煙たがられていたのですが、一方人望もあり、国語教師としての力量も高く、万葉集研究に打ち込んでらっしゃいました。私が新設のその中学校で好き放題にできたのも、そんな校長と教頭がいたお陰でした。

 演劇部は全面的に任せられました。もちろん演劇指導は初めてでしたが生徒たちと手探りで脚本選びから、基本の、発声練習まで付き合いました。屋上で発声練習やってると校長までニコニコと覗きに来て、まだ大らかな時代でした。

 井伏鱒二の『山椒魚』や人形の登場人物の作品などを仕上げました。文芸的美術的世界です。音楽や舞台装置も生徒たちと工夫しながら作りました。公民館を借りて発表会をするというのは校長の企みでした。
 全校生徒の前で披露する。よく生徒たちは頑張ったと思います。発表会は終幕後、生徒たちの拍手喝采を浴び成功しましたが、あの当時の生徒たちは鑑賞する力が高かったのです。
 私が高校に出たあと、社会科教師が演劇部を引継ぎましたが校内問題などのリアルテーマをやらせるので部の生徒たちは私に愚痴を伝えてきたりしましたが、私より20近く上、社会科ながら、郷土の偉人塙保己一を「う〜ん、ホキイチ?変だな。ハナワホ、キイチだな!」と凄い社会科教師。期待も何も出来ません。生徒たちに噛んで含めるように諦めさせるのが大変でした。この社会科教師は後に校長になりました。やはり〜でしょう^_^

 最後に、家庭訪問も触れておきたい。埼玉では近年、家庭訪問禁止ということがアチコチ起きて居るようです。何か問題が起きているのでしょう。しかし、家庭訪問は新クラスを受け持つ最初の大事な行事です。保護者と生徒を家庭の中で見る。信頼関係を作る。それは年度当初一番大事な事なのです。
 自転車で家庭訪問すると、家の近くで生徒が待っていたりします。家に案内してもらうと保護者が縁側で漬物やお茶で労ってくれます。父親に居酒屋みたいな店に「引率」された事もあります。こんな楽しいことが出来ない学校って、それだけでダメなのです。

菜の花の咲く道を家庭訪問に行く。

春爛漫、脳天気爛漫の巴琴でした。

 

蛇足ながら、大学から福島定時制と夜型人間になっており、中学校勤務は多忙だった事もあり、よく屋上で昼寝をし探されたことも、また、寝坊して教頭から呼び出し電話が来た事も良い思い出です。
 
 
  夢うつつ過ぎにし畦に咲く花の
       乱るる姿もいとほしきかな
 

 

 

 


.写真
 大学卒業の頃の見合い写真です(嘘です)

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高度に楽しいBesame mucho - Rava / Bollani\(^▽^)


Besame mucho - Rava / Bollani