pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

一事が万事日本人の悲劇

 

冷めた食事に

飛び交う怒号

まるで囚人のような
生活の中で

椅子の軋みは
悲鳴に聞こえた

 

保護されている高校一年生の授業で書いた詩です。

保護されるべき彼らは再びこんな生活を24時間の監視の中で過ごしています。


この詩も規則では授業終了と同時に取り上げます。
その後、会議室書庫の個人別ファイルに綴じて係長なる(福祉の神様)の閲覧に供し、その子が退所したら全てシュレッダーにかけねばなりません。

従って私は一度もファイルに綴じる事なく机に保管して来ました。犬である指導員たちがファイルするようにと何度も言ってきましたが、授業の資料とすると突っぱねて来ました。

指導員たちが行う授業レベルではファイル、シュレッダーは何の問題もありません。ドリルのコピーですから。

事程左様に私には無意味な規則は通用しませんが、ここにこれ以上居ては「共犯者」となりますから昨日、即日退職しました。課長はブツブツ言いましたが。実は先週に通信高校の講師が決まったのです。来月から勤務します。

先週、子どもたちに学習室での授業の中でそれを伝えました。子どもたちには、「君たちが退所したら君たちの作品を送ってやる」と伝え、彼らの連絡先などを受け取って居ました。もちろん、そんな事も厳禁です。私の連絡先も教えましたが、生活指導員たちにバレたら「個別」という独居房的懲罰が待っていますので、暗号的にメモする方法を教えました。また、そのノート類も退所時に全て取り上げられるのでメモ書きを切り取って尻の間に挟んで置くよう教えました。

「これ以上、こんな連中とやってられるかい」

彼らは頷き喜んでくれます。退所したら私と会う楽しみができたからです。こんな年寄りでもね。

一昨日、男子の最後の授業では私の「出所祝」としてドリンクスナック菓子」を配り新しい勤務先を教えました。彼らは個人的会話を禁じられていたので、授業参加の6人は初めて対面で自由な会話を楽しみました。

「この前、窓の外の空を眺めていたら怒鳴られた、意味わかんね〜よ」
「おれ、保護所2度目」
「窓には電気が流れてるらしいぜ」
「言う事聞かないと鑑別行きだって脅された」
「なんとか、ここ訴えらんないかな!」

怒りやら笑いやら盛り上がりました。

 

次の女子の授業ではドリンクスナック切れましたのでフリートークの時間にしました。初めて私の退職を告げると、え〜!辞めないで!という悲鳴が出ましたが、落ち着かせて私の次の勤務先を教え、遊びにきなと伝えると喜びの声に変わりました。 

 

彼女たちもこの保護所生活で私の授業の時間だけが楽しみだったのです。男子は体育の時間もある程度楽しめますが、女子体育は頭のイカれた英語女が指導、もちろん、男女共に生活指導員の監視付きで授業中でも怒鳴り散らされます。その学校に入りたいという子も何人か出てきました。

その通信高校では、殆どあらゆる事が自由です。「私のお姉さんがそこ卒業したんだ!」という子もいます。
「妊娠しても子ども産んでも叱られなかったよ。赤ちゃん学校につれてきて授業受けたりしたんだよ。卒業式にもね」

 

「私ね、警察に、2,3日環境転換だからって言われて来たの。もう3週間よ!」

 

彼女たちも初めての自由な会話を楽しみました。
「お風呂ね、違反したからって私なんかシャワーだけ!」
何せアイコンタクトさえ厳禁な世界です。女子は特に厳しい。女指導員たちは彼女らの上に君臨し、先生と呼ばせた挙げ句に彼女らへの深い慈悲の思いをヘラヘラ言います。

ここに2ヶ月以上暮らし精神的な変調を来し、廃人の如き無気力な表情になっていく子を何人か見ました。当たり前ですね。

子どもたちの作文や絵画も確保しました。いづれ返却したり送ってあげたいと思います。

しかし…私は日本国の人間として恐ろしく恥ずかしいのです。私自身、ここで仕事をして、この実態を知りました。始めに上げた詩が生まれる国。最近、刑務所内出産で手錠をかけられたままという報道もありました。老人福祉の悲惨、子ども福祉、学校の悲惨、歩いた所は全て悲惨です。バカげ切った政治を長年やらせて来た国民のお陰です。

私は目の前に居る子どもらだけにしか関われません。それでも、この子らの明るい笑顔に救われます。

日記、久しくサボっていましたが、上記の理由によりご勘弁下さい。

 

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