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歩くたび空山花や秋深む
昨夕は久しぶりに青空がのぞいたので散歩した。
秋の冷涼のなか季節を味わった。
写真はその時のものである。
谷間の里が深い霧に沈んでいる。
おしこめて秋のあはれに沈むかな麓の里の夕霧の底
式子内親王
何度読み返しても心を打つその美しい光景が俯瞰する眼前にあった。式子内親王は里の内側から、私は外から。
この「秋のあはれ」は私には注意を要する。
単なる季節の情調を詠ったものではないように感じるのだ。
この歌は心象風景を重ねたのではないのか・・・花よこれからという10歳の娘が斎院として10年賀茂神社に「押し込め」られたのである。まあすべては想像である。
「あはれ」という王朝文学の美意識の深さは式子内親王の歌で「沈むかな」の「かな」という静かな詠嘆を添えられて美しい。
長雨のあけぬる夕の山里の霧ふかきとて秋は澄むなり
今日は朝から秋日和。