pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

安曇野



  『荻原守衛生誕140年記念企画展
  傑作《女》を見る』
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http://rokuzan.jp/%e4%bc%81%e7%94%bb%e5%b1%95%e6%a1%88%e5%86%85/

この企画展見たさに相変わらずの貧乏旅行を行った。会期は9月までだが、そこまで待てない。かつ夏休みに入れば旅費は高く嵩む。雨天を呪いながらでかけた。

碌山については以前まとめた拙文があり、それに付け加えるほどの資料は得られなかったが、碌山のスケッチや葉書など興味深く見る事が出来た。
更に、会場内に置かれた石膏像の美しさに打たれた。
複製の石膏像で『女』『デスペア』『文覚』の3体である。
石膏像の純白と柔らかな質感は雪像のようなものだ。ブロンズも良いが、石膏像のそのセンスはまた碌山に似つかわしいのかも知れない。
『文覚』→『デスペア』→『女』の順で毎年製作され、最後の『女』が碌山の死の直前の完成であった。歴史上の人物の文覚の姿は嫉妬に狂った男。デスペアは「絶望」。それぞれに碌山の黑光への思慕を伺わせるが、デスペアではその絶望は女性の置かれた地位ー男への家庭への隷属ーも含まれよう。それが『女』では、女性の未来への希望を感じさせる。己の自由意志で自己決定で生きる姿。そこには当然ながら「愛」におけるそれらも含まれる。そんな「女性」像が「女」のモチーフと観る。

3体共に碌山の想い人であった相馬黑光をモチーフとして製作されたことに異議はない。その碌山の純粋な想いは永遠の形を得たのだ。



「碌山さん、写真宜しいですか?」
「どうぞ幾らでもお好きなようになさいなさい」
「一応撮影禁止となってますが…」
「なに、構わぬ、案ずるなかれ。写真ごときで利害は生まれぬ。また、少しでも余の芸術に理解が深まればそれに越したことはない」

と言う訳であの世の碌山に許可を得て一枚アップする。管理者には申し訳ないがお願いしても拒否は見えてる。大体、この石膏像も碌山の許可を得て作製されたのか?あり得ない。幸い観覧者は誰も居ない。チャンス。


しかし世の中、好事魔多し。

くだらぬ攻撃は避けるがこの狂った社会では賢明と言う事で削除予定

そうそう、美術館の建物についてご紹介。
今井兼次という優れた建築家の設計で、戦後の郷土の教員たちが碌山を後世に伝えたいという熱意と、それに共感した長野県の小中高生らの寄付と労働提供によって作られたという成り立ち自体が美しい。碌山に相応しいですね。
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https://www.ohkaksan.com/2016/09/04/%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%AA%E5%82%91%E4%BD%9C-%E7%A2%8C%E5%B1%B1%E9%A4%A8-%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B/

休憩室兼資料館、これも素敵な建物だが、入口脇の電柱、枯れた木の上を削って電灯が下げられたもの。宮沢賢治の『月夜の電信柱』の電灯を思い出させます。
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「ドッテテドッテテドッテド〜♪」昔、子どもたちに幾度も読み聞かせたものです。資料館脇の休憩ベンチの間には、テーブル代わりの大きな枯木が横たえられています。
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 灰皿も用意され、見識の高さを感じさせます。ポピュリスト小池知事が見たら激怒するかな?いや、選挙区では無いので無関心でしょう。愚民を釣る禁煙ファシズムですから。碌山はそんなファシズムとは無縁の人物。なんて、蛇足を申し上げました。禁煙主義者の方々、広い見識を以てご寛恕願います。

巷では、日韓のガキ共の喧嘩に親のトランプが出る構図となって、いやはや論外。バカに付ける薬はありません。明日は参議院選挙投票日。日本人としてはバカに投票してはなりませんね。自分たちの首を締めたいならどうぞ。


碌山美術館の後はジャンセン美術館。
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こちらは個人蔵のジャンセンコレクションの美術館ですがジャンセンの非常に繊細な描線と色調、そして底辺の人々への優しい眼差しを感じさせます。こちらも小さいながら美しい。敷地内のカフェもまた美しいし、木漏れ日の中ベランダで珈琲を頂きました。そう、ここも喫煙可。灰皿を頼むと美しいお姉さんがニッコリ微笑んで持って来てくれます。違いますねえ。
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  蜩のうた僅かなり梅雨の里


水曜日、珍しく晴れ間の覗く安曇野
朝、宿で一年ぶりに蜩の声を聞いたがすぐに雨に消えた。

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