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今月は2度目の文化会館。
前回のオペラは娘からのプレゼントだったが、今回は長男から。いづれも家内の誕生日祝い。次男末男は音沙汰なし。
ラカトシュ・アンサンブルは初めて聴く。
ジプシー、ロマの放浪世界は音楽と踊りにあると言われる。放浪の中で男が弾けば女が踊る。
長い長い弾圧の暮らしの中で音楽に喜びを見出した。その音調は激情と哀切。
ラカトシュ率いるアンサンブルにバンドネオンの三浦一馬が参加。更に後半には、当日に参加が決まったというジプシーヴァイオリニスト古舘由佳子がほぼ飛び入り参加。彼女は日本人ただ一人のハンガリー公認。こういうサプライズは嬉しい。
ラカトシュの演奏はさすがにメニューインから次代を担う天才と言われただけあって、凄まじいまでのヴァイオリン。アンサンブルたが霞んでしまう。と思いきや、カールマーンのピアノの美しさ、イェーヌ・リステシュのツインバロンの爆発的なそして繊細な演奏、ラースロー・リステシュのコントラバスも良かった。
ラカトシュの曲も含め全14曲にアンコール2曲。ルグラン、ロシア民謡、ピアソラ、ロドリゲス、ブラームス、コルサコフ、モンティなど多彩な曲目。
三浦一馬は残念ながら霞んでしまったが、古舘由佳子のヴァイオリンはラカトシュと向き合って技巧も音色に於いても遜色ない美しさ。ほぼ飛び入り参加(プログラムにも載ってない)ながらラカトシュに調和していた。
同じハンガリー舞曲5番でも熊蜂の飛行でも彼らの演奏ではガラリと曲想が変わってしまう。それは彼らの人生が加味されるからだ。
彼らの人生の激情や哀切を感じ取れた事は嬉しかった。
それがジプシー音楽だろう。
音楽はいい。
一番裏切らない芸術だ。