pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

『ブラック・ハイビスカス』


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前回ドゥニ・ムクウェゲ広島講演について雑感を書いたが、その残忍極まりないな戦争の道具としての性暴力について、これが特異なのは道具としての在り方だった。村落や地域を破壊し、人々は都市に避難する。その空いた土地からの資源収奪の背後に世界的な大企業がいる。

ただ、このおぞましい残忍さも人肉食となると影が薄くなる。昔「行き行きて神軍」というドキュメンタリー映画を観た。東南アジアで皇軍兵士が仲間の肉を食らっていたという。餓死に直面した人間が人肉食に走るという事実はある。しかし餓死に直面しながら人肉食に走らなかった人間の方が多い。『方丈記』に描かれている親子である。

しかし、趣味的に殺して食うとなるとその異常性は際立つ。

アメリカ人捕虜を殺してその肉を食べた…… “狂気の宴会”が行われた「父島事件」とは」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a5c90abaa997655ae7ac2ee17b19105d46d6868?page=4

帝国陸軍中将の命令による捕虜殺害とその捕虜の人肉での大宴会となると、これは戦争の狂気だとかたずけるわけにはいかない。いやしくも帝国陸軍中将である。トップエリートだ。肩書糞くらえの私だが、さすがに唖然。「美味い!お代わり!」

戦後日本人を家畜化してきた自民党も残忍だが。連中も「美味い!お代わり!」と宴会で堪能しているのである。ヘイゾーは年金、医療保険など取り上げる代わりに月7万やるとほざいた。

人間というのは知性(モラル)が欠如するとこうなる。壊れた動物である。


最近、畏友からご紹介いただいた帚木蓬生の長編「インターセックス」を読む前に帚木の「風花病棟」を読んだ。短編集で、一作読んで詰まらなかったらあとは読まないつもりだったが面白い。医学専門の作家なので読むだけで医療現場や様々な疾患の情報が溢れている点読みごたえがある。
その「風花病棟」所収の「チチジマ」に、この人肉食事件が触れられていた。さすがにこの内容を掘り下げると作品のバランスが崩壊してしまうのだろうし、医師として同業者であった軍医への同情もあったろう。



インターセックス
http://www.intersexinitiative.org/japan/index.html
https://www.nexdsd.com/

内分泌系の異常によって起きるクリトリス(陰核)の肥  大化

外見上の性別が性染色体上の性別(Y染色体があれば男  性、なければ女性)とは逆

尿道がペニスの先端ではなくて、下側にある

外見が女性型だが、膣を持たない

性腺が睾丸もしくは卵巣に分化していない、もしくは両  方を含む

二次性徴が異常に早い、起きない、あるいは育てられた  性とは別の性の特徴を持った二次性徴が起きる


以上の差異を持つ人々のことだが、「より一般的な数字としては、目で見てすぐにインターセックスと分かる子どもは2000人に1人の割合(日本ではだいたい1年間に600人弱)で生まれているとされています」という状態である。帚木の「インターセックス」ではその深刻な医療的人権侵害と本人や家族の激しい葛藤が描かれている。私自身は養護学校で重度重複障碍児を受け持った経験から、彼らが特異な人間ではなく、障碍を除けば全く問題ないと認識しているが(ただしそう認識しているのはごく一部)。インターセックスは全く無知だった。畏友に感謝である。

そんなインターセックスで生まれた子供らが同意なく下腹部を何度も手術されていた事実に暗澹となる。


最近、作家丸山健二の新作が予約販売になっているという情報を得た。大資本出版と決別した稀有な作家だ。徹底した反権力作家。今度はとうとう自分の出版社を作り新作を出す。『ブラック・ハイビスカス』。
う~ん、題名からして惹かれる。

死んだ妹を背負い火葬場に順番を待つ少年の写真から着想を得たという。

 

しかし・・・4冊計10万円。税込み11万円・・・30部以上で出版するというから彼としてもギリギリの価格設定だろうが、下流老人としては手がでない。怒りと悲しみの思想の書。氏の乾坤一擲の書。?「バカ言ってんじゃねえ、まだこれからよ!」へい。
https://inuwashishobo.amebaownd.com/pages/3406619/news

というわけでせめてというわけではないがその題名と同じ曲を載せます。おそらく曲想は作品と重なるはず。

 

www.youtube.com