pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

『死の素描』

・骨折からほぼ2週間経つが、痛みは少し改善してきたが、ほぼ相変わらずの状態である。火曜にレントゲン検査を受けたが接骨部位はそのまま。固定し我慢するしかない。昨夜ベッドでうつらうつらしていた時だが、ふと(いつも「ふと」なのだが)肋骨の痛みから…

ジャン・クリストフ  ロマン・ロラン

まずは、実に惨めな近況から。 月曜に眩暈から後方に転倒し、木彫りの頑丈な小さな椅子に左背中をしたたかに打ち受けた。あまりの激痛で近くの病院に行ったが、背中は擦り傷程度。しかし左肋骨3本骨折していた。 「ほら、誰が見ても骨折だと分かりますよ」CT…

たんぽぽ句会26回 3月15日(金)

・ 雪とけて野鳥をかえす庭の隅 淡雪 母の雛かんざし揺れし十年祭 淡雪 春光に重たきすぎの花粉かな 夏生 タンポポやひときわ土手に黄色なり 夏生 集落にゆらゆらゆらり春の風 夏生 雛の日にことよせ集ふ姉妹 陽清 思ひ出の布地手製の雛かな 陽清 いつしかに…

東日本大震災

もう13年も過ぎたのか… 私は被災者ではないが、友人や家族が暮らしていた。 シュラフと食料を担いで仙台のまだ停電していたホテルに止まり、ホッカイロを身体中に貼り付けて寝た。 両親の住んでいた所はかろうじて津波から外れていた。弟家族も無事だった。…

美について (改稿)

.「私たちは、ある国に住むのではない。ある国語に住むのだ。祖国とは、国語である。」 以前の文章で引用したエミール・ミシェル・シオランの言葉だが、この言葉は国家という政治的存在への本質的洞察だが、同時に人間の存在への洞察でもある。 「私たちは、…

たんぽぽ句会25回 2月16日(金)

・ 豆まきす夫の後追う犬コロロ 淡雪 湯のたぎる音のみ午後の雪激し 淡雪 春うらら祖父母の生きた街に生く 夏生 豆まきの吠えたる父の福は内 夏生 光射し雪も解けたり春の庭 夏生 立春やかくしゃくとして百二歳 陽清 かくれんぼ園児等の声春を待つ 陽清 休耕…

『みちのく いとしい 仏たち』夢と夢の狭間

・一昨日2月11日に東京ステーションギャラリーの掲題の展覧会を観て来ました。12日終了なので慌てて行きました。https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202312_michinoku.html東北地方に於ける隠れキリシタンの姿に以前より関心を持っていましたが、同…

長い道を (邦題「悲しき天使」)

邦題の歌詞を見れば、ああ、あの歌かと気づく方も多いでしょう。原詩では『長い道を』となるそうです。語学のダメな、いや語学もダメな私ですので翻訳を頼りに危ない理解をしています。さて、その『長い道を』はロマ(ジプシー)系の雰囲気を漂わせた名曲な…

ボレロ 舞 二様

①和楽器と日本舞踊によるボレロ。【ボレロ】を和楽器で演奏するという挑戦。演奏の皆さんの想いと覚悟を受けて…『古典の美』と、『心のままに躍動する感覚』とを織り混ぜて、踊りを作ってゆきました。ボレロは最初から最後まで、同じリズムを打楽器が刻みま…

ウクライナオデーサ歌劇場日本公演

指揮者 吉田裕史の挑戦。ウクライナオデーサ歌劇場、魂の音楽を日本に 吉田裕史 https://readyfor.jp/projects/odesa 昔、スロバキア交響楽団の公演を聴いた事がある。素晴らしい熱演だった。そしてその時知ったのだが、かの国では年間三千円で1年中コンサー…

たんぽぽ新春句会24回 1月19日

新年あけましておめでとうございます。と爽やかに申し上げたいところですが元旦早々能登がやられてしまいました。被害に遭われた方々には心よりお見舞いを申し上げます。本句会の皆さまも同様に心を痛めながら、句会にご参加いただきました。心を奮い立たせ…

短歌

・ 年の瀬も蕾で耐へて沈丁花 春を包みて夢に居りぬか 花手水のまねをせむ 蓮鉢に浮かぶ山茶花白き花びら 花々を眺め過ぎたり ひととせも想ひ辛しや大地は歪む 無辜の子のまたその親の悲泣かな 蛮人の歴史止むこともなく 冀ふはやさしき春の慶びや聞こゆる花…

たんぽぽ句会23回 12月15日(金)

・ 記憶力補い合うてひなたぼこ 淡雪 今日もまた出来た事あり暦買う 淡雪 顔振の天望のぞむ冬の富士 夏生 今わかる父の優しさ冬野菜 夏生 正月の父の手作り器かな 夏生 雲間より遠く富士の嶺ピザランチ 陽清 福みかんたわむ古木やとある家 陽清 念願の佳き日…

堀辰雄を語る会

・ 追分宿分去れ道標 講師 大石紗都子武蔵野美術大学准教授演題 「時代と空間を超える堀辰雄の”メルヘン”『羽ばたき』を中心に」令和5年11月26日(日)午後1時30分~3時 於 軽井沢町追分公民館以下レジュメより抜粋はじめに 堀辰雄をとりまくイメージ (1)…

たんぽぽ句会22回 11月17日

・ ラーメンを半分っこしよ柿落葉 淡雪ノラの冬メスネコたずね寝そべけり 夏生ほうちょうでたたいて割りぬ花梨の実 夏生綿虫や帰路の坂道息荒く 陽清小春空古民家までと歩を延ばす 陽清故郷の山冠雪といふ便り 陽清秋雨の窓打つ夕べ朱ひとつ 巴琴長き道歩き…

たんぽぽ句会21回 10月20日

・ いがぐりや寄り添いて今金婚寿 淡雪 彼岸花遠くをとんび回りけり 夏生 ススキ映え賢治の風の聞こえくる 夏生 どの墓も花飾られし彼岸かな 夏生 摘み来たる千草の花を仏前に 陽清 コスモスの咲かぬ異常の気象かな 陽清 街路樹の根元を染めし彼岸花 陽清 悲…

大切な若い人への手紙

「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる……」 『焼肉ドラゴン』『高度経済成長期の真っ只中、万国博覧会が開催された1970年。関西の地方都市の一角で、小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む龍吉(キム・サンホ)と妻・英順(イ・ジョンウン)は、…

秋日

・ 先日の深更のこと。ふと目が覚めた耳にざあざあと雨の音が聞こえてきた。雨も良いなとぼんやり聞いていたのだが、目覚めついでにトイレに立ち、戻りしなカーテンを開けると満天の星が瞬いていた。雨音と聞いたのは勘違いで庭や公園の葉ずれの音だった。 …

ふしぎふしぎ

・ 子どもの頃4・5歳ころだったか、大阪の安治川河口の町に住んでいた時だ。母と銭湯の帰り道で懐中電灯を星空に向けて照らそうとしたら明るくならない。不思議だった記憶が残っている。 小学生の時には体積を求めるに、縦×横×高さなのだが、縦×横は面積だ…

たんぽぽ句会20回 9月15日(金)

・ 白萩や小さき黄蝶今年も来 淡雪 栗ご飯今宵はお粥卒業日 淡雪 帽子編む母の姿の手の形 夏生 神無月父の後背目に残り 夏生 この味が「いいねいいね」と栗十個 夏生 体調の日々に快復百日紅 陽清 他愛なき朝の会話や秋澄めり 陽清 マスカット一房なれど仏壇…

たんぽぽ句会19回 8月18日

・ 駅へ行く近道日傘傾けて 陽清 八月や今日は朔日おこわの日 陽清 墓詣子等に託すや我が齢 陽清 夏空や猿と会へたり吾野宿 夏生 淡き色オクラ畑の風の道 夏生 日替りのセミの読経けふは映え 夏生 小窓より虫の音ほそき雨あがり 淡雪 入院を『じゃあね』と見…

短歌ー原爆忌ー

・ 走る影きゆる声なる残る影すべての影の原爆忌いま 青空に蓮の花向くひまわりも今も忘れじ面影の道 かなしみは命のふるへよろこびもすべて残していのち消ゆる日 みな同じすべて消ゆべし我もまた束の間の風つかのまの日々 束の間の命なりけりならばとて今を…

たんぽぽ句会第18回

・ 炎天の卵抱く鳩静かなり 淡雪 木漏れ日を受けし夫の背曲がりおり 淡雪 夏は透くハンガリー舞曲佳境かな 夏生 夏の夢指揮者の踊るクラシック 夏生 梅雨明け黒きアゲハのあわてよう 夏生 雷走る遠くかすかに救急車 陽清 手入れよき畑の隅やカンナ燃ゆ 陽清 …

夏の思い出

・ もはや思い出の集積の上の私であり、今後の新しい経験の可能性は日々の暮らしの中が大半となる。 そんな中で「夏の思い出」というお題が少し書く意欲を刺激してくれた。意欲全般衰弱する近頃として有り難い。 夏は海山甲乙付けがたい。海の中から山を見る…

世界が引き裂かれる時 KLONDIKE

・https://unpfilm.com/sekaiga/1、原題:「KLONDIKE」の由来 監督・脚本:マリナ・エル・ゴルバチによる解説「ドンバスは、石炭採掘や鉄鋼など、ソビエト連邦後の宇宙で最も豊かな工業地帯であり、ロシアからヨーロッパへのガスが通る戦略的な場所であると同時…

ぼくたちの哲学教室ー全ての先生と保護者へ

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000683 今月末まで上映 ずっと気になっていた映画だが、学校という悪夢が先立ってなかなか足を運べなかった。昨日は早稲田松竹やイメージフォーラムの「世界が引き裂かれる時」を考えていたが、この「ぼく…

たんぽぽ句会第17回

・ 糸とんぼ川面に近く連なりて 淡雪 残されし桑の木一本実のあまた 淡雪 夏山の麓にまぶし山ガール 夏生 夏風や夫の音する台所 夏生 青梅の重なり浮くなり梅酒ビン 夏生 良きひと日昏れて六月誕生日 陽清 しばらくは歩を止め沙羅の花の下 陽清 万緑や山近か…

堀辰雄文学記念館野いばら講座

清泉寮の道 堀辰雄文学記念館野いばら講座 5月28日 「刎頸の交わりとしての堀辰雄と神西清」 岡本英敏先生 まず、刎頸の交わりという故事を文学的交流の仲に対し安易に使うべきではない。神西清が癌に侵されその死期に於いて尚、堀辰雄全集に尽力していたと…

たんぽぽ句会第16回

たんぽぽ句会第16回 2023,5,19 夫追いて電車は都内五月闇 淡雪 古きよりめぐる季節やカジカ笛 淡雪 命込め咲く花々の春うたげ 夏生 井の中の我にあらずや春の雲 夏生 一早く咲きしあじさいの純白 夏生 母の日や父母並ぶ古写真 陽清 ひた走る高速道や大夕焼 …

ある日のロビン

ある日のロビン また例のごとく、私は余りに良い春の陽気に誘われて、昼下がりにふらふらと散歩にでた。山の上にある団地内を散策するだけでゆうに一時間は楽しめる。家々の庭の花や公園の木々を見ながら、定年退職した私は健康上の意味に加え散歩する楽しみ…