pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

2015-08-07から1日間の記事一覧

. 暑気いや増す夕暮れ近く、一服しに玄関を出て軒下に腰を下ろした。 蚊取り線香の煙が先に上がっているので邪魔な蚊の音は聞こえない。 庭先も家の前の公園にも蝉時雨が湧き上がっている。 気のせいかも知れぬが、今年は例年にも増して蝉が多い。蝉が小便し…

『写生帖』 辻まこと

・ 辻まことの『写生帖』という作品の冒頭にこの詩が掲げられている。作者、陶晶孫、「歴程」同人。 昭和26年ころの「歴程」戦後第一回の詩画展のおりに、色紙にしたためられて出品されたという。 台風従井裡 颱風は井の中より起き 起 洪水従沙漠 洪水は砂漠…

満月愛隣

・ 1 満月が森を明るく照らし 余りに明るいので星林も隠れてしまった。 真夏の熱波も和らいで 蝉も静かに木々に息を吐き 時折ニャン! 茂みの下から白いハチが此方に駆け寄ってくる。 2 満月 Blue Moon Blue Moon 見事な満月の夜 おまえもその光を浴びてい…

大阪西成の夏

・ 先日、所用で大阪に行った。 宿は今年の4月来、西成と決めている。 地下鉄御堂筋線の「動物園前駅」一帯の、あいりん地区と呼ばれているこの界隈には天下有数の安宿が並んでいるが、その中でも高級な宿をとった。 1泊2000円以下である。 更に安い1泊500円…

花と人間

蓮の花の二番花の蕾が大きく膨らんできた。 今春初めて我が家に来たばかりなのだから そんなに頑張って花をつけなくてよいよ。 一番花より更に高くその細すぎる茎を伸ばし。 重き蕾を青空に届けたいのか。 そうか、お前も精一杯に生きたいのだな。 少しの強…

暑いのだ!

. 散水の夏の夕暮れむせ返る草と土との甘き風吹き 濃紺の空を映してやま桃の実も熟したりその甘き陰 その余り暑きに耐えず伸びのびて床の上にて甘き夢みん 写真、我が家の令嬢、ナナとミーの伸びきった姿。 あられもない姿で失礼~_~; ハチとモン太郎はさすが…

夏空

・ . 夏空に向かふ我あり幼き日プールの底の深みあおぎ見 . 十方の三世奥なり罪ごとき 塵よりかろし蓮の花咲く . 歩みきて夏空の下なが影の草叢に消ゆ昨日の如く .

蓮の花

・ ようやく咲いてくれた。 4月に奥武蔵の街道沿いの小さな喫茶店のママさんから頂戴した株を鯉太郎の居る睡蓮鉢に植えた。田んぼの土もお骨折り頂いて株の寝床とした。 花の寺巡りをしていたこの4年、この季節ではやはり蓮の花が美しく境内を彩り羨ましく…

父の思い出 3

・ 敗戦後、郷里で結婚し、竹細工などで稼いでいた父は戦後の物資不足で飛ぶように売れたと喜んでいたが、実は銀行の宝くじで2度も大当たりをとったらしい。 ツイている者はどうもツキが続くらしい。 その御蔭でツキは父が使い果たし、此方はツキに見放され…

父の思い出 2

・ 父が旧制中学中退にも拘らず英語が出来たという点、ご質問を受けたので補足するが、それは写真に出した祖父の厳命だったと聞いている。 時局が三国同盟締結、国際連盟脱退と日本全体が神懸かり軍部の国粋主義となり、西洋文化排斥、英語フランス語などへ…

父の思い出 1

. 今日、父の4回目の命日が巡って来た。91歳の自分の誕生日に脳溢血で亡くなった。 生前自分は120歳まで生きると公言していた割に、あっけない最期だった。しかし、50才で糖尿病を患い、入院した割にはよく持ちこたえたと思う。 糖尿病発症後は食事療法、運…

・ 行く年や猫うずくまる膝の上 漱石 漱石のことだから猫の俳句があるだろうと調べてみたら直ぐ上の句が出てきた。 猫好き漱石は周知の事。 ネコっかわいがり!という慣用表現があるだけに我が国の猫愛好家は多い。 我が家では子供らがそれぞれ好きなペット…

痰一斗糸瓜の水も間に合わず

言わずと知れた子規の代表句。 誇張をそうは感じさせない凄味が写生句を超えた命のおののきを感じさせる。 いま、午前3時半過ぎ。 この数日来喉が剃刀で切るような痛みから、就寝後明け方まで激しい咳と痰に悩ませられている。 声が出ないというザマである。…

・ 春風の山を吹き抜けあくる夜は 別れに手向く花ぞ咲きたり 新社会人の皆さんへ 巴琴 末男が4月入社に伴い社員寮への引っ越しをする。 この男は中学で登校拒否を起こした。 酷い教員集団と担任だった。 こんな所に入れたのは親の責任である。 上の兄が既に…

私達に目を背ける権利はない  ファルージャと日本

『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件 …そして』 渋谷UPLINK他上映 http://fallujah-movie.com/intro.html 当時人質となった3人のうち、高遠菜穂子さん、今井紀明さんお二人が登場する。 ブッシュというヤブから大統領のイラク侵攻に追随した小泉首相…

サヨナラJealousy

・ サヨナラJealousy 「サヨナラ」ダケガ人生ダ そうかな。 「コンニチハ」だけが人生さ 人生はどこまでも前に進む いくらサヨナラと言い続けても 日に新たに、日々に新たなり 日々是れ新たなり 日に日に新たなり まことに日は新たに 大雪が春の陽光に消えた…

雪の日

・ 昔、越後塩沢の鈴木牧之『北越雪譜』を読んだ事を思い出した。内容はあらかた忘れてしまっているが、雪国の博物学的書物で、その挿絵とともに江戸時代の雪国を不思議な思いで読んだ印象が残っている。 塩沢といえば今でこそコシヒカリの中心南魚沼郡で会…

真夏の太陽が川面をぎらつかせていた。その中を一隻のポンポン船が舟の家を曳いてゆっくり岸から離れていった。 「どこへ行くんやろ?」 貞子が涙声で言った。 『泥の河』ラストシーンである。 信雄の母貞子を取り上げた。 映画では藤田弓子が演じたが、原作…

やさしさというもの 2

「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェ入れて温もっているときが、いちばんしあわせや。・・・うちのお母ちゃん、そない言うてたわ」 おんぼろのだるま船、「廓舟」で暮らす母と子・・・ 周囲に廓舟の子や、と嘲笑される娘の銀子と喜一。 生活苦から「淫売…

やさしさというもの 1

ドトールでバスや電車の待ち時間を過ごすくらいがささやかな私の楽しみであるが、喫茶店で読書する習慣は学生になった頃からで、普段文庫本新書本などをバックに持ち歩いている。 昨日、たまたま書棚から抜き出した本が、久しぶりというより大昔読んだ宮本輝…

冬の日五首

・ 冬の日 冬の日の空輝けりはるけくも 煙一条昇りてぞ消ゆ 新しき冬日満ちたるグラスにも 澄める記憶の沈みてぞあり 記憶には夜汽車の中の母の匂ひ 抱かれ眠る何処とは知らず 冬の夜の布団の中で触れし母 その冷えし足を温めんとし 冬の夜の銀河に聞こゆた…

阪神淡路大震災と名護・東京

記憶の風化というより劣化であろうか。 追悼の番組はある。 追悼はもちろん欠かせないのは当然だが、追悼とはこのような場合、広島平和記念公園内に設置されている慰霊碑に刻まれた言葉 安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから を想起すべきである。 …

夜汽車

・ 郷里も昔は今より雪が多かったのだろう。 木造の駅舎の周囲は雪に埋まりプラットフォームにも雪が吹き込んでいた。 汽車であった。 つるりと塗装された木の座席に車内灯の橙色が照り返していた。 窓の下に蜜柑が輝いていた。売り子さんから窓を開けて買っ…

・ 花 やさしさよ風になれ 春を待つ木々の芽をなで 地中の種をふくらませ 厚い氷の湖面を吹き抜けよ 春は名のみ されど ここかしこ 春を待つ息吹をつつみ 小鳥たちも ナナやハチたちも浮き足立ち 春の香りを浴びたくて 躍動の時を待ち焦がれている しずかな…

『北上夜曲』  今様

ザ・ピーナッツの類いまれな歌唱力によってこの曲は最大限の美しさを持ったと思う。 ***・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・*** 『北上夜曲』 誕生秘話 http://jirotan-nikki.cocolog-nifty.com/blog/2011/1.. 発売から50…

夜毎の妄念

『The World is waiting for the Sunrise 』 Benny Goodman 1980 http://www.youtube.com/watch?v=nZazFYqtQC0 世界は日の出を待っている 長すぎる闇だが 無駄に長いと思うな 無駄な犠牲などない 私たちは犠牲を見つめる愛を忘れない 日本原電が発電せずに最…

 平等院 2011年11月05日

31日 平等院 無動寺を谷から上がって行く時には結構疲れが出ていました。 ところがその坂道を足の悪いお祖母さんが2本の杖でゆっくり上がっていきます。追い越して大鳥居のところまで来るとご主人らしき人が石に腰掛けてお待ちでした。 大変だ、という感覚で…

俳句七句

なんだかんだあれやこれやと師走かな 小春日の水面に浮かぶ雲ひとつ 顔無き顔巷に溢れる師走かな 顔無き顔己の顔なり小夜時雨 顔泣き顔拭いてもなを時雨傘 冬の庭枯れ葉散りしきハチ帰る なんだかんだ忘れてしのぶ床夜月 注 ハチは今年6月に来た家猫でまだ生…

三井寺~無動寺

三井寺~無動寺 (改稿再掲) ・ 31日9時半三井寺着。 園城寺町という町名、三井寺の本来の名前から来ている。 平安末、度々比叡山と争い、あの弁慶が比叡山から降りてきては暴れたらしい。私の「竹取幻想」においても園城寺という名を使わせていただいてい…

寂光院・大原 

寂光院・大原 (改稿再掲) 10月30日大原 10時20分京都着。 11時半大原着。 昔の記憶など殆ど残っていない。雪の寂光院を歩いた記憶だけが眩しく残っている。 標識を頼りに寂光院を目指す。 この道は土産物屋が少なくていい。 私の他に歩いている人は一人二…