厳島記 夜も次第に更けていった。 小侍従は一人宿所から抜け出て厳島神社の平舞台に立った。文月の潮風は心地よく、社の背後に聳え立つ弥山は黒々と銀河を仰ぐ。 小侍従と供の武士四人の一行は、都から七日をかけて厳島に着いた。唐船から渡し舟に乗り、波の…
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