2015-08-07 蓮の花 ・ ようやく咲いてくれた。 4月に奥武蔵の街道沿いの小さな喫茶店のママさんから頂戴した株を鯉太郎の居る睡蓮鉢に植えた。田んぼの土もお骨折り頂いて株の寝床とした。 花の寺巡りをしていたこの4年、この季節ではやはり蓮の花が美しく境内を彩り羨ましく思ったものだった。二代の后と呼ばれた悲劇の待賢門院が復興なされた右京区花園の法金剛院などには蓮の鉢がところせく並べられていたものである。 おのづから月やどるべきひまもなく いけにはちすの花さきにけり 西行 蓮の花は仏花として歌を詠むにはこの西行の歌のような瞑想の花としての存在もあれば、風流の白玉の美を詠んだものも多い。 花に咲き実になりかはる世を捨てて 浮葉の露と我ぞ消ぬべき 道綱母 『蜻蛉日記』作者として名高い彼女の人生の苦悶が溢れ、因果倶時の現身さえ捨てたいという嘆きは胸を打つ。 睡蓮鉢にあった睡蓮は小ぶりの鉢に移した。 やはり田んぼの土を寝床にしたので今年は元気に葉を茂らせている。 この梅雨の雨に打たれて庭の木々の草花もみな元気である。 嬉しい事だ。 ただし、冷夏にならぬようにだけは祈っている。