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猫が屋根の上で鳴いているのかと放っておいたが、どうやら二階だ。
ミーはソファに陣取っている。
ハチは外に出ているはず。
では、モン太郎かと思って居間を出て二階に行こうとしたらそのモン太郎が階段下から脱兎の如く私の足許を駆け抜け階段を跳ね上がった。
ということは、あの鳴き声はチビか。
チビは既にすっかり我が家の猫の気分で暮らしているが、屋内立ち入り禁止を時々破る。
二階に上がると西側の子供部屋からチビが顔を出していた。部屋の窓が少し空いていて入ってきたのだ。網戸はモン太郎が開けたのだ。
モン太郎が誘って中に入れたのだ。
もう何度もやっている。
チビは私を見てソワソワと部屋の中をうろついている。以前は大慌てで逃げまくったチビだが、最近は少し図々しくなった。
窓を大きく開くとモン太郎と一緒に飛び出して行った。
我が家に来るノラに黒猫のクロがいるが、こいつは大人になってから来だしたせいか、常識人ならぬ常識猫で、モン太郎やハチの後に餌を食べるのだが、チビは幼い時に来たせいで我儘である。ニャンニャン左右に身体に揺らしながら走ってきてクロを押しのけて食べるので餌皿を2枚にして与える。クロはチビをチラチラ横目で見ながら食べ始める。チビは食べ終えると私の足周りに絡みつく。クロは食べ終えると大きく伸びをしながらノッシノッシ去ってゆく。