pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

空き箱と秋 詩


ソファに伸びている私

出窓の網戸にカナブンがガリガリ音を立てている
蝉が遠くで鳴いている
すっかり秋の陽射しとなった庭に
金木犀が香りだして来た


およそ感動のない人生などあり得ない


99%の悲惨な仕事にも1%の感動はあった
その1%は100%である

辛い事も悲しい事も怒りも99%の中で今も強襲するストームだ

地獄を知っているか?
地獄とは何も無いただの空き箱の中にある
何も無い
空き箱の中に囚われた何も無い自分だ

何も無い他人が自分を浸食していく
その苦痛や怒りも消えた時に
空き箱の中にいた
自分も空き箱になっていた

笑えるほどの滑稽な自分
空き箱だぜ

ああ
その何も無い空き箱の中に
こぼれるような笑顔が注がれた
汚れのない言葉が注がれた

小さな空き箱はすぐ満杯となる
じゃあ
また新しい空き箱を用意しないとな!

空き箱を満たしてくれた
つかの間の天使たちはすぐ飛び立って
汚辱と疲労の中でもがいているだろうが

いつか自分の空き箱を見つけられるように
その空き箱の中に笑顔や汚れのない言葉を満たせるように闘う他はない

闘って負けるならそれは栄光だ
負けるが勝ち
それが真実だ

負け続けてこそ真実という宝を獲得する
実を言うと
勝利も敗北もないということ
勝利も敗北も何ら意味を持たないということ
本当の勝利はもっと、遥かな砂丘の先にある
だから、負けるな


にもかかわらず
永くも短い人生の中で
秋の陽射しは温かくふりそそぎ
花水木の紅葉が眩しく青空に輝き
虫たちの声が古代を教える
かなしいほどの美しさ



猫タワーの上でモン太郎がすやすやと眠っている
チビがピョンピョン跳び入ってモン太郎にくっついた
気づいたモン太郎はチビの頭をペロペロ舐めて、チビは一緒に眠りに入った

秋の一日




写真は以前撮りためたもの

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