・
「2016年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、日本でも大ヒットを記録した『わたしは、ダニエル・ブレイク』。この傑作を最後に、一度は表舞台から降りたケン・ローチ監督。だが、同作のリサーチ中に社会の底辺で目の当たりにした〈現実〉が彼の心の中に生き続け、いつしか〈別のテーマ〉として立ち上がり、どうしても撮らなければならないという使命へと駆り立てた。引退表明を撤回した名匠が最新作で描いたのは、グローバル経済が加速している〈今〉、世界のあちこちで起きている〈働き方問題〉と、急激な時代の変化に翻弄される〈現代家族の姿〉だ。2019年のカンヌ国際映画祭では、「私たちがやらねばならないことはひとつ。耐えられないことがあれば、変えること。今こそ変化の時だ」という、公式上映後のケン・ローチ監督のスピーチがさらなる拍手を呼んだ感動作が、ようやく日本にもやって来る。」
https://longride.jp/kazoku/
「グローバル経済が加速している〈今〉、世界のあちこちで起きている〈働き方問題〉と、急激な時代の変化」と紹介されているが、更に正確に言えばグローバル資本主義経済であり、巨大資本が世界中を巻き込んでいる現実の社会での押しつぶされそうな、ささやかな一家族を正攻法のリアリズムで描いている。
粗筋は予告編でどうぞ。
前作を超えたその感動はご覧いただくほかはない。
ただ個人的な感慨はそのラストの父親の姿に私自身の経験も重なるということだ。
すなわち、観る人のそれぞれの共感がそのラストにある。
日本でも実は深刻な問題、家族崩壊の姿が重なるのである。
映画タイトルには「家族を想うとき」の下に小さくSorry We Missed Youと原題が表示されている。
宅配便の「ご不在に付き失礼」という意味である。が、この意味を敷衍する必要がある。
Sorry We Missed You
Sorry IMissed You
この違いに引退を翻したケン・ローチの万感があり、怒りがある、そう観た。
ケン・ローチのこれほどの激しい作品はない。
We
なのだ。
我々は進んで自らなりたがる奴隷ではない。