pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

優しい人はね、叱られるから

優しい人はね、叱られるから。


私はこの言葉を聞いて絶句した。
今日の保健室での出来事。
午後の部で、4年生のまる子ちゃん(仮名)が放ったのだった。

午後の部まる子ちゃんは登校して来た。1時間目は保健室に。私は1年生の援助に入っていたが、次の時間途中、まる子ちゃんは養護教諭に連れられて自分の教室に行って授業を受けていた。

私は1年生の援助の方に一定の見切りをつけて、まる子ちゃんを見に行った。養護教諭が脇につっ立っている。養護教諭は保健室に居なければならないので、養護教諭を保健室に帰して私が代わったのだ。

国語の授業。
「今日、心に残った出来事」というタイトルで3つプリントに書くのだが、彼女は手を付けられていなかった。

何をどう書いて良いのか、作文に慣れていない彼女には難しい。

似顔絵を描いたのは楽しかったかな?

うん

じゃ、それを書こう
そして、似顔絵を描いたこと、家でダンボールを用いてハウスを作ったこと、そのハウスに使うテーブルを作ったことの3つを書いた。

若い担任が来て喜んで褒めた。まる子ちゃんははにかんで頷いていた。

国語の授業は無事に済んだ。次は算数の授業。算数の計算、3桁の掛け算ができると聞いていたので、この調子なら算数の授業も参加できると踏んで、担任に任せた。

そして3時間目が終わる頃、まる子ちゃんの教室に行くと、担任は彼女が掛け算もしっかりやれたと驚きながら私に教えた。まだ新卒2年の担任には彼女のような児童は難しい。

私は彼女と保健室に戻って彼女の帰宅まで一緒にいる事にした。

そこに算数専科の30代半ばの教員が顔をこわばらせて入ってきたのだ。

ちょっと話があります。先生、午後の1年生の授業どうしたんですか?と詰問調である。 

あれ?朝の君との打ち合わせで、午後の方はまる子ちゃんの様子を見ながら判断するとなってたよな!

ちょっと、こっちで話しましょうと彼は隣りの部屋に私を促して、その1年生算数の私の補助義務をヘラヘラ言い出した。

あのな、そんな事分かりきった話だろ!しかし、まる子ちゃんの事は一昨日に管理職とも了解をとって、君とも了解を得ているだろうが!

こんな調子で、この石頭の、2つ大学を出た馬鹿野郎に少し声を荒げて説教を垂れた。

どうすんだよ、彼女。あ?どうする?算数の補助もいいが、一昨日から彼女は変化して来た。教室の入り授業を今日は2つ連続で受けた。彼女のような子にとって、どんなきっかけが変化をもたらすか分かってんのか!

いや、先生の話も分かるんですが、と、この算数男は食い下がる。石頭で極めて真面目であるが、ものが見えない。

いいか、俺はさっき算数の補助はこの辺でいい、他にも補助教員1人いるから何とかなると見切って、まる子ちゃんの方に来た。どちらも軽視はしてないが、今大事なのは何だ?せっかく4年目で授業、教室に向き合い始めた彼女だろ?違うか!

更に、今後どうする気なんだ?
俺は3週目には算数補助に入る気でいるが、まる子ちゃんや他の不登校の子らをどうする気なんだよ!俺は両方は今後やれないってえの!しかし俺の他に誰が対応できる?居ねえだろうが!

俺の知りたいのは、君らが彼女たちに対し教員として学校としてどう対応する気なのか、どう体制を作る気なのか知りたいんだよ!分かるか?教員だろ?君も。どうする気なんだよ!答えろ!

できねえんなら教員なんてやってられんのたよ!いいか、俺は給与表最下位の安給与だ、オマケに最遠距離通勤、加えて最高齢だ、その俺が本来の職務外のこんな事までやってんだよ!分かってんのか!

こんな調子で20分以上やった。最後には彼はおとなしくなり、石頭も少し柔らかくなった。根はクソ真面目。馬鹿野郎だが、理解力もある。私のような人種を相手にした経験は多分ない。


と、まぁこんなやり取りを保健室隣りでやった後、保健室に戻ってまる子ちゃんの相手を再開した時に、掲題の、まる子ちゃんの言葉が発せられたのだ。


彼女は私が算数専科教員に叱られたのかと心配していたのだった。


  優しい人はね、叱られるから……


小学校4年生の言葉だ。
彼女の絵に続き、私は驚き深く感動したのだった。参った参った。



写真、一昨日だが、今度は私の横顔を描いてくれた。あまり似てないと最初は思ったが、私の浅読みだった。よく見ると…なんと特徴がしっかり描かれていた。私の年老いた頃の母の横顔であった。
参った参った。

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