pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

正義とうつ病




孫正義のことではない。
古色蒼然、日本ではほとんど死語となっている正義である。

正義には社会的正義と個人的正義があるが、社会的なそれは法における正義であり、こちらは日本では骨抜き同然であるのは知る人は知っている。法の下にある社会的正義は三権の癒着で失墜した。それは国民的認識に於いての正義への軽視でもたらされたのである。民主主義国家としてはほぼ致命的で、そのもたらす弊害は貧困とともに全国津々浦々の自閉的逼塞感を伴う精神の荒廃が顕著となっていく。


平成14年~29年 240万人→400万人 (認知症系を除く受診者数 厚労省
この数字はあくまで受診者数で実際の精神疾患数は何倍にもなる。

この間、自殺者数が減少しているのは受診の効果があるからだが、それでもほぼ2万人。平均毎日55人ほどが亡くなっている。

面白い文章があるので引用する。

「わたしたち青年を取り囲む空気は、今やもうすこしも流動しなくなりました。強権の勢力は、あまねく国内に行わたっています。現代の社会組織はその隅々まで発達しています。――そうしてその発達がもはや完成に近い程度にまで進んでいることは、その制度の有している欠陥が、日一日明白になっていることによって知ることができます。」

超訳時代閉塞の現状」2014
http://hibi.hatenadiary.jp/entry/20141210/1418230302

石川啄木の文学論だが、社会論に通じる。実は日本の現代文学にも重なるのだがそれは置いておく。

今の時代が閉塞、逼塞しているという認識は私だけではない。逼塞した環境下では精神を病む者が増えていくのは当然である。

逼塞とは、八方塞がりの謂いである。私自身経験したから実感としてわかる。社会正義としての法に依って(訴訟)かろうじて助かったが、現場は硬直した上意下達の世界であった。すでに30年前あたりから悪化したのだから現在は「硬直した上意下達の世界」という認識すら希薄であろう。教員という公の場でさえそうなのだから民間のひどさは察するに余りある。

要は人々が横の連帯を分断あるいは喪失したことだ。社会正義を保持する必須条件として横の連帯がマスメディアを使いこなす権力によってほぼ潰された。ばらばらとなった庶民がマスメディアによって踊らされ、茹でガエルとなっていく。

可哀そうなのは若者やこどもである。 
時代が閉塞、逼塞しているなかでさらなる社会保障の悪化圧迫が進行しているが、すべて大人、我々の責任である。正義をせせら笑い、己の銭勘定のみにうつつを抜かし、TVの前で痴呆のごとく時間を消費する老人である。


清濁併せ吞むとか言うが嘘で清はない。濁をたらふく吞みこむのが大半の政治家であり、盲目的マスメディア奴隷と馴致した国民を締め上げていくわけだ。いうなれば民主主義国家の仮面をつけた全体主義国家である。明治の強権はわかりやすいが今の強権には不感症。

民間の給与を上げよ・・・首相が偉そうに口を出し経団連が応える。もちろん応える裏には大企業の優遇が用意された。異常極まりない。

感染症を中心とした一般の疾患については,その国の経済が発展し所得が向上するにつれて,低栄養状態が改善され,上下水道などの公衆衛生が発達し,医療へのアクセスが向上して,寿命・健康損失が改善されるが,うつ病双極性障害は,経済発展に比例してその対応が改善されないために,疾患・障害全体に占める比率が経済発展によってむしろ高まっていくものと考えられる」

うつ病の現状と「うつ病対策の総合的提言」の背景
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/21/3/21_177/_pdf

経済発展とうつ病との相関関係がよくわかる。
自社の社員や下請けを苛め抜いてのし上がった側面がある。

社会的正義とは法である。

労基署も訴え出た本人の救済はするが職場や組織の改善には動かない。近年はサラリーマンユニオン以外にブラック企業ユニオンまで結成されている。また草の根的な貧困サポート組織もたくさん生まれたことだけは、まだ捨てたものではない日本人の正義である。よこの連帯だけが救いなのだ。また、家族友人同様。あてにあるなら。


個人的な正義・・・これは国家同様に振り回すと危険なものである。正義を標榜する幼稚な狂気。近くでは自粛警察とかいう狂人たちが現れたが、遡ればいくらでも類似した連中がいる。極端になると自分と国家が一体になった幻想をもって全体主義に流れる。欧州ではソクラテス以来の思考の蓄積があるが日本では良い子道徳くらいしか教え込まないのが文科省である。思想・哲学はほんのちょっと。最近では文学教材まで無き者にしようという恐ろしい政府である。

石川タクボク?しらな~~~い!

何をどう知って理解するかで個人の正義は変わる。
報道統制に教育統制という中での個人の正義感は危険な所以である。




写真 俺たちの正義はテーブルの上にある!

 

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