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マリ藻生く阿寒湖の風に吹かれけり 夏生
母の里思い出清し天の川 夏生
雨止まぬ窓よりの景初紅葉 陽清
カラフルな電車通過や秋の朝 陽清
彼岸花いつか会えるかその日まで 淡雪
秋の蚊よ今宵はひとりビデオでも 淡雪
秋の日は三原色の傘をさす 雄峰
エアコンは冷房暖房乱高下 雄峰
うたた寝や秋の深みの中にゐて 巴琴
青空に熟し急ぐや庭の柿 巴琴
マリ藻生く阿寒湖の風に吹かれけり
マリ藻と阿寒湖の大変情感あふれる名詞とその阿寒湖を吹き渡る風による漣に揺れるマリ藻の姿・・・ちなみにマリ藻は秋の季語でよろしいとのこと。秋の澄み渡る阿寒湖で因む歌なども句会には登場します。美しい句ですね。
母の里思い出清し天の川
天の川・・・近ごろというか既によほど空気が澄んで明かりの少ない土地でないと見ることはなくなったか・・・この句は作者の友人の話から作ったとか。岐阜です。そういえば天の川は銀漢とも呼び葉室麟の時代小説「銀漢の賦」に使われています。中国、漢水の漢。
雨止まぬ窓よりの景初紅葉
長月・・・夜が長くなってくる月というより近年は長雨の月か・・・気候変動が日本の四季を破壊してしまう予兆かと思われたほどの雨でした。そんな中でも作者は美を見出します。雨滴の流れるガラス窓、それだけでも十分に美しいのですが、その先に初紅葉。作者の俳句により日本の四季は健在です。
カラフルな電車通過や秋の朝
同じ作者の今度は爽やかな秋の朝の一コマです。ケアハウスの下を通過する電車がカラフルで楽しくなります。最近は本当にカラフルとなり、電車好きならずとも緑の丘陵の木立を抜ける電車は愉しいです。
彼岸花いつか会えるかその日まで
「いつか」は副詞、会える「か」の「か」は疑問の助詞と理解してよろしいかと思います。問題は「その日まで」。までに、なのか「まで」なのか。「その日」が初句の彼岸花すなわち死をイメージすると、会える日を死ぬその日まで待つという期待の心となります。死後、会いたいと願える存在があるなら死も救いでしょう。なければ死はただの虚無です。大変含意の深い句ですね。
秋の蚊よ今宵はひとりビデオでも
弱々しくなった蚊の存在は自分の鑑でもあるでしょう。ご主人の介護に疲れた作者、デイやショートステイでその間はようやく息抜きで撮りためたビデオでも・・・お疲れは当然です。一生懸命介護なさった結果として寝たきりで意識もおぼろげだったご主人が半ば劇的に改善されていらっしゃる。ショートの時はできる限りご自分をケアなさってください。
秋の日は三原色の傘をさす
三原色という強烈な語感をもつ言葉を作者は使いました。意気軒高。秋の青空のもと、紅葉黄葉に常緑・・・長雨で色彩も乏しかった9月でしたから今月の青空は地上も「三原色」の「傘」に染められます。爽やかな一句ですね。
エアコンは冷房暖房乱高下
面白い句です。漢字で一気に、やはり意気軒高^^。本当に異常気象は勘弁です。体調管理にはエアコン必須となりました。俳句でも「冷房暖房」で季語二つ。季語崩壊の予兆。
うたた寝や秋の深みの中にゐて
そのままの句。れっきとした老人^^なんていい気になってるとカミさんのカミなり「少しは運動なさいよ!」
青空に熟し急ぐや庭の柿
居間のソファーで窓の外を眺めています。今年は柿も豊作で毎日柿が食卓に。
陽清さんが歌ってくれました。