pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

2021-01-01から1年間の記事一覧

銀河鉄道の夜

大晦日の午前五時。やれやれ早起きになったものだ、これは老化であると当たり前の慨嘆であるが、なに早晩彼岸へと渡る。私のような愚者は三途の川も船賃なく、あるいは持参を忘れて船頭にバカにされて「泳いで渡れ!馬鹿者!」と罵られて、やはりバカだから…

本年最後の句会

・ ひとり居や紅葉がきれいと声に出し 花眼 「や」の詠嘆がしみじみと「ひとり居」に呼応して中句下句に美しく余韻を響かせるように感じました。「声に出し」の作者の佇まいまでも深く感じさせてくれるようです。 ランドセル二つ背伸びす冬のバラ 花眼 上中…

木枯らし

・ かれてたつただ一もともさびしきは嵐の庭の尾花なりけり 樋口一葉 一昨日と昨夜の夜中の木枯らしの音は半睡の脳にすさまじく残った。久しぶりの暴風。当地は山の上なのだからか、ごうごうと地から湧き上がるような風が電線をビュンビュン鳴らし木々を揺ら…

焼殺

https://twitter.com/i/status/1468293803673276421「2021.12.7発生 ミャンマーサリンギでは、11人の地元住民が軍事評議会によって生きたまま焼かれました地元の人々によると、14歳から22歳の9人がビンロウの農場に隠れていたときに軍に逮捕され殺害された。…

開戦記念日 川柳

・ 棄民なり在宅放置死コロナ禍で 最低の卑しき国に靖国か おめでたき民草の群れ神頼み 鬼畜なり殺した若者英霊と いのちなど鴻毛以下の英霊よ 戦中は税金九割いのちとともに 敗戦後婦女子は米に捧げられ リヤカーに家財を積んで夜逃する 何だこりゃ必死に生…

句会

・ 雨あがり木々やわらかく色づけり 波風 落ち銀杏道に光がなだれ込む 波風 陽光に映えし紅葉のまぶしさよ 一伸 朝夕の寒さに耐へし庭の菊 一伸 夭折の姉に手向けし水仙花 撫子 夕膳やメニューの一品菊膾 撫子 寒さ痛雪と見まごう白ばんば 夏生 うす紅の背高…

愛と見返り美人と安吾

・「愛」という漢字について「後ろを顧みて立つ人の形である文字と心との会意文字。後ろに心を残しながら、立ち去ろうとする人の姿を写したものであろう・・・中略・・・人の心意を字形に写して、巧妙を極めている」前の記述に於いていまだに心を牽くこの白…

写真1葉

・ たくさんあるアルバムを整理していた時である。 小さなセピア色の1葉の写真が畳の上に落ちていた。それは私が1歳頃か、幼稚園の園庭の滑り台で母が私を支えている写真だった。 ツバのついたハンチングを被った私は不安げに手すりにつかまって足をやや硬…

「堀辰雄を語る会」(旧堀辰雄文学記念館講演会)

・ この講演会は一年前に行われた後、今年の春も夏も直前で延期されていた。コロナ余波である。私にとってはこの講演会はどうしても参加したいものであっただけに残念であったが、今回ようやく開催の葉書をいただき申し込んだ。応募者は全国から来たらしいが…

句会

・ 体調もようやく戻り句会に参加できた。 それぞれの痛みが話題秋深し 波風 十年(ととせ)経て飯能ザクロ実りたり 波風 紫陽花よ枯れても楽し我が人生 一伸 花なすの赤味もしぼむ寒さかな 一伸 蟷螂の足衰へて我もまた 一伸 ハロウィンの南瓜微笑む昼下が…

MINAMATA-ミナマタ

・6月来、どうも体調がおかしい。気候の変調のせいかと思っていたが長引きすぎる。寝込むほどではないが、だるさがつい無気力を誘う。今月は風邪の症状が2週間以上続いているが発熱はない。生来気管支が弱いと言われていたが免疫力が低下しているのか。ワク…

短歌

・ 緑なす風も過ぎけり白き風あはむと歩く野辺山道を 花野風身にまといせば消えてなん我が穢れたる身も心をも 風の中消ゆればさぞや憂からざらん透き通る夢くれなゐの風 稲穂波寄せくる前に佇めば幾重も連なる奥武蔵かな この歳で花野を夢としりたればやうや…

句会及び俳句の事など

先週の木曜に定例句会があった。 秋の声森の社に夫婦鯉 夏生 十月や障子のやぶれをはりもせず 夏生 秋の雲覆いかぶさる日和田山 撫子 カーテンを開けて九月の空仰ぐ 撫子 秋口の気圧にからまるわが心臓 波風 ガチャガチャの勢いうれし夕餉どき 波風 子と分け…

別れ

・ 今朝の二時頃だが、トイレに行って用を済ましてドアを開けたらハチがドアの外に座っていた。こちらは寝ぼけていたので撫でてやることもせずにベッドで寝てしまった。それがハチとの別れになるとは想像もしなかった。 まだ10歳、他のモン太郎やミーは15歳…

吾が心秋月に似たり

・こうも長雨が続くと晴れ間が恋しくなるのは当然。晴れて猛暑がぶり返すのは勘弁だが気象変動の成り行き次第。気が早い私は中秋の名月を待ち望んでいるがまだまだ・・・今年のそれは21日とか。ま、その日くらいには長雨も去ってくれるだろう。掲題の「吾が…

コロナの日々

・ 新型コロナが日本で発見されて以来、特にダイヤモンド・プリンセス号船内感染状況以来、政府の感染対策には全く信頼していない。以前、カフカ『ペスト』のメモ書きをアップしたが、そこに示された感染症対策の基本中の基本である、検査と隔離がこれほどお…

8月句会

木曜日の月例句会。参加者5名。見学1名。男性の宗匠は入院中で、もう一人の男性は欠席。何せ60代は女性1人で他全員70代。見学者は80代の女性。男性は宗匠と元教授と私の3人。従って圧倒的に女性優位の句会である。従って平和。男というのは基本的に愚かな種…

敗戦と『寂しさの歌』金子光晴

・ www.youtube.com 国民を騙し巻き上げるだけの政府政治が続いています。「寂しさの歌」再再掲です。関心のある方はお読みください。 ☆ 『寂しさの歌』 国家はすべての冷酷な怪物のうち、もっとも冷酷なものとおもはれる。それは冷たい顔で欺く。欺瞞はその…

広島長崎の黙祷に寄せて  短歌

・ 五島の教会にて 悲しみを知るものありやこの国の悲しみにゐて八月の雨 祈りとは捧げるものなり見せるに非ず耐え抜く者の祈り尊し 燃ゆる川燃ゆる木立の燃ゆる空広島長崎灰燼の夏 轟音に窓外見ればきのこ雲海軍病院の父は虚脱す (呉停泊中撃沈され奇跡的に…

句会

・拙句 待つ宵の 月下美人や 月の花 蓮の花 暁に聴く 星の音 待つ宵とは小侍従の代名詞の句。月下美人の喩えとして月は相応しいかと。 蓮の花もまた今夏咲いてくれました。いま二番花が蕾を伸ばしています。 このような世相、もはや言うに及ばぬ魑魅魍魎の国…

竹取幻想68

そんな子どもたちの興奮と歓声を運んで、船は夕暮れに染まる備前の児島泊りに着きました。 周さんが、潮の流れも風も良く、明日は備後の鞆に着けるだろうという航海長さんのお話を伝えてくれました。児島泊りのお宿はやはり清盛さまのご指示で日本と宋の船舶…

竹取幻想67

李船長はもじゃもじゃのお髭で鍾馗さまのようなお顔なのですが目が優しいので怖くはありません。「髭船長だ!」と、先ほども子どもがじゃれついてくると肩にひょいと乗せて船内を歩いていらっしゃいました。蔡さまの言う通り船員さんたちも優しいのでした。…

竹取幻想66

・ 船は潮風を受けながら銀の波濤を割って進んでいきます。あの右手の浜が須磨です。まもなく左手の淡路島を抜けて行きます、と周さんがお教えくださいます。ああ、あの源氏の君が過ごした須磨・・・ 生ける世の別れを知らで契りつつ 命を人にかぎりけるかな…

竹取幻想65

・ 「お船は楽しい?」と聞くと首を縦に振って、「うん、楽しい」と答えます。 何が一番楽しいと聞くと、「みんな!綱登りもやったよ!」と元気に答えながら、「一番はねえ・・・」と言って口ごもります。 「何?教えて、知りたいな、菊丸が一番楽しいことは…

竹取幻想64

・ 子どもたちの声が下から聞こえてきます。手の空いた船員さんに案内してもらっているようです。見ると甲板の帆柱に集まっています。複雑な帆縄の操縦の話に真剣に耳を傾けているのですが、そのうち一人がお話に飽きたのか、帆縄にぶら下がるとするすると登…

竹取幻想63

・ 貴方・・・はるか天空の彼方におられる貴方に、飽きられずお聞きいただくには私のまことに拙い話で心苦しいのですが、小侍従と呼ばれたこの私の、ただの女房にすぎぬ私の人生の中で、僅か数日の間の、儚くしかし私にはかけがえのない経験を、ほんとうの喜…

竹取幻想62

・ 結局私は勧められるままに清盛さま湯屋に出航まで泊りました。なんともあの湯浴みの魅力には抗いがたいのでした。兼綱さまがおっしゃられた、癒されよという事の意味を初めて知ったのです。ありがたいことです。本当に、私は皆さまのおかげで身も心も軽く…

竹取幻想61

・ 「文徳殿、また突然の話で申し訳ないが。ご存じのように私どもはこれから厳島神社参拝に参る。先ほど小侍従様と話したのですが、如何かな。我らとともに参拝されては」 兼綱さまがお話になられますが、それは私からさきほど兼綱さまに相談したことなので…

竹取幻想60

・ 「貴国での生活で安全が保障れていたとは良かったな。まずは一番の不安だったろう。しかし、子供らにとって異国、たしかに幼い子まで大勢引き連れて行く不安は大きいだろうの。文祐は分かるだろうが、幼い子に、至る処青山有りとは言えぬからな。しかしな…

竹取幻想59

・ 「申し訳ありません。理屈ばかりこねて。なに、簡単に申せばこの子らが可愛くてしようがないというだけの話した」 文徳さまは照れ笑いです。 いえいえ、貴重な良いお話を頂いて嬉しい限りですよ。これほどまでに心惹かれるお話はありましょうか・・・西行…