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ひとり居や紅葉がきれいと声に出し 花眼
「や」の詠嘆がしみじみと「ひとり居」に呼応して中句下句に美しく余韻を響かせるように感じました。「声に出し」の作者の佇まいまでも深く感じさせてくれるようです。
ランドセル二つ背伸びす冬のバラ 花眼
上中の句意が下句にどのようにつながるのかやや分かりずらいが、背伸びして垣根からバラを覗き見る子どもの可愛さを感じます。
このままの暮らしを願ひ日記果つ 撫子
穏やかに安らかに日々を重ねられてきた作者の、悔いのない幸せを感じます。新たな年への願いも同じ。
それとなく子に労わられ年惜しむ 撫子
それとなく、なるほど、そのように親を心配する子の姿に皆さま共感です。毎日「大丈夫?」と電話してくるお孫さんがいらっしゃる方の話も出ました。私も皆さんも「それとなく」という気持ちの方に伝統的な日本人の心を感じます。
ひかり差すみがいた窓の冬の朝 夏生
年末恒例の大掃除の光景。私などの無精者にはなかなか億劫でやり残すこともある窓拭きです。
光あふれる綺麗な冬の窓に作者のうれしさもあふれるようです。
コロナ禍にポインセチアの色の濃く 夏生
コロナ禍という難しい言葉に挑戦した一句。コロナ禍に対峙するポインセチアの鮮烈な美しさはコロナ禍に負けない気持ちをいただきました。
ふうふうと冬至の夜にうどん食べ 一伸
句の世界に湯気が立ち昇る姿まで見えます。冬至とうどんの組み合わせなどは知らず勉強になりました。ご興味のある方は「冬至とうどん」で検索してみてください。面白い発想です。「まあ、うどん屋の商売かな」と作者は笑ってお話くださいました。
手に重し蜜柑の心我想う 一伸
なんでも、以前カフェに来たら女性から大きな蜜柑を頂いたそうです。蜜柑の心・・・彼は歌謡曲も自宅カラオケで愉しんでますが、ミカンやリンゴなどの歌心に触れて皆さんを楽しませてくれました。結びの「我想う」の想うという言葉に若さを織り込んで茶目っ気たっぷりでした。
以上、私の未熟な感想でした。
以下、私の拙句。
初氷紅葉とじ込め輝けり 巴琴
枯れ庭にハートに包まるほおずきの実 巴琴
お一人はご主人入院中で、お句のみ頂戴。もうお一人はご自身が突然の大病で入院後二週間で病院の都合により在宅療養。もうお一人は入院中。めっきり少ない人数でしたが和気藹々、相変わらず楽しい句会となり、年の瀬のご挨拶を交わして閉会となりました。
この句会日記もこれで本年終了。お読みいただき感謝申し上げます。またコメントも頂戴し、有り難い一年となりました。心より御礼申し上げます。末尾になりましたが、大病なされた方のご快癒を祈念申し上げます。
では今夜はイブ。
皆さまお楽しみください。
画像 以前のもの
動画 クリスマスにも相応しい美しい曲