・
「啄木」とは次の日記でご紹介したものです。
そこでは
「私は琵琶演奏をお聴きするのは初めてですが、塩高和之様の琵琶演奏『秘曲ー啄木』はまさに平安の人々の祈りを感じさせていただきました。秘曲とされた『啄木』を聴けるとは・・・譜面のコピーもお見せいただきました。音が波動となりその波に包まれて、仏教の、まるで宇宙の深遠なる声を聴かせて頂いたように感じました。これほど心が緊張しまた溶解していく経験は初めてです」と記しました。
私は古楽も無知ですが初めてお聴きした時の感動は忘れません。ご存じの方も多いと思いますが、その『啄木』という秘曲は鴨長明の逸話において有名な、彼が都を追放されるきっかけとなったものです。長明がしきたりを存ぜぬはずはなく、しかし情動的に演奏の禁を破り弾いてしまったことが後鳥羽上皇に知られて怒りをかったわけです。
さて耳学問は置いて、この秘曲を聴ける機会は少ない。私は楽琵琶演奏家の塩高和之氏によって年末に拝聴したわけですが、YouTubeに彼の演奏が載っておりましたので、関心のある方にご紹介します。つくづく便利な現代。ただ、音のわずかな擦れなどは残念ながら私のPCでは伝わりません。
洋楽とは本質的に異なる音楽ですね。長明が追放覚悟で弾いてしまった秘曲。今朝の雪と響き合うようです。YouTubeで「古曲」とされているのは「秘曲」という名を慮ってのことでしょう。