pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

秘笈

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秘笈


    第一章


     1

晩秋の木立の向こうからかすかに聞こえくる
グールドのハミングのなんと楽しそうな声
うつむき 
落ち葉の小径を通り過ぎたあなたは
一人歌う
それは
自分にではなく誰にでもなく
あなた自身が音楽だったのだ

 

この大いなる晩秋の落ち葉のように
やわらかな雨音の旋律が夜のしじまを満たすように
グールドのピアノが
雨のしずくのようにかろやかに
七色の複層の音色がさざ波の如く
グールドの悦びと孤独
バッハの自然への愛を奏でる
この夜の孤独に伝わる

 

通り過ぎたあなたよ
束の間の安らぎは得られただろうか

人々に無残に押しつぶされ
薬にあえぎながら横たわるあなたの涙が
降り注ぐ星林のしずくが融け合って
頬を流れ落ちた


     2


ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの爪は
大理石の白いなめらかな肌に優しくくい込んで
やさしくバロックを奏でた

 

囚われた女は身をよじり
聖テレジアは恍惚の口をひらく

 

その時
ジョルダーノ・ブルーノは十字架にかけられていたが
己の足元から吹き上げる火炎に狂喜する群衆に
真実を見た
真理に恐懼する人間のひきつった心を見たのだ

 

人間は真理にも真実にも耐えられないのだ
いまだに
おのれの感情や欲望にさえ
自分にさえ耐えられないのだ

 

感情は天の翼を得て、時を翔ける自由をその手に掴んだが
理知は天を透徹し、却って夢の底知れぬ秘密を深くしたのだが
漸く手に入れた感情と理知を人々は忘れ
その甘い果実をのみ貪った
毒を潜ませてあったというのに

 
    3


晩秋の森の夜のかなしさを雨音が満し
暗い森の声が溢れる
遠くの幼子の泣き声が絹を裂くように闇を震わせ
雨音を震わせる

 

つめたい晩秋の夜の雨ふるかなしみが言う
目を閉じよ
暗い森の奥の
深い闇の向こうのまなざしを見よ
雨音に耳を澄ませ

 

    4

 

我々はどこから来たのか
我々は何者か
我々はどこへ行くのか
ゴーギャンの絵はつぶやく
ゴーギャンの楽園は潰えた

   
暗い森の奥の憂鬱とともに
南洋の楽園も穢されていった
我々はなにも知らぬ
我々は何処からか来て
知らぬところへ漂う
いまやただ欲に引きつり
無明の焔に飛び込んで灰となる
かなしい生物だ
身を寄せ合うしかすべのない生物だったのに
互いに愛するしかすべのない生物だったのに

それでもこの冷たい晩秋の夜の雨音は言う
南の島々は音楽にあふれた楽園だったと
暗い森は言う
愛にあふれていたと

 

私の島はどこにある

 

肌寒い晩秋の夜の雨ふるかなしみが言う
目を閉じよと
暗い森は言う
欲望の名において汝ら滅びよと

 
文字の衰うること、未だ今日の如きはあらざるなり

千年前に蘇東坡はそう記した
文字とは文学のこと心のこと
この冷たい夜の雨音は深くうなずく

 

    5

 

あなたの涙は枯れること無く
秋霖悲愁を誘い
敷き詰められた枯れ葉にしたたる

グールドの影は森の奥に消えていった

一枚のレコードの夢
一冊の画集の憧れ

 

孤独と哀しみの音が
グールドのハミングとともに静かに流れる
夜のしじまの果てに
化生眠りの闇の底に

 

通り過ぎたあなたよ
束の間の安らぎは得ただろうか
秘笈の底に
あなたの涙も隠されただろうか

 

深い闇の向こうに
ひとり踊るキース・ヘリング
秋霖の向こうに淡く消えてゆく彼の後ろ姿を
あなたも見たのだ

 

目を閉じよ
この冷たい晩秋の夜の雨音も
いつしかやみ
幼子の泣き声もやみ
暗い森のささやきも雨音もやみ
地はしずかに眠りに入る

 

    第二章


    1

夢を見たかい
この世には裏も表もあるそうだが
本当かい
在るのは夢だけだ

 

夜汽車の重い車輪の轟音と
汽笛がつんざく深い夜を覚えているか
石炭の匂いとともに思い出したなら
それは夢だ
思い出とはすべて夢なのだ

 

つるりと塗装された木の座席の背もたれ
車内灯の橙色が照り返す窓の下に
蜜柑が香りを放って宝石のように輝いていた
窓を開けて頬の赤い売り子さんから買ってもらったり
窓を開けた瞬間雪片が吹き込んできたり
母の膝の上で眠ってしまったりした経験は
地層深くで結晶する玻璃のように
夢に純化する
そう感じないか
あの
蜜柑の香りや
車輪の音は夢だったと感じないか

 

思い出が夢なら私はいまも夢なのだ

 

車輪のレールを軋せる残響が今を撹乱する
車内灯の鈍い明滅が黄色い蜜柑を蠱惑し
吹雪が窓ガラスにおとぎ話を吹き付けて
女の顔が映る
微笑んだ母の顔
夜汽車は轟々と夜を突き抜け
汽笛は闇を爆発させるが
私は眠る
夢の中に
あたたかな母の膝の上に眠る


    2


堅物の漱石が第一夜のことだったが
女の夢を見た
横たわる女は長い睫の間から涙を落として死んだ

「百年待っていて下さい」

夢は反転し涙で実在と仮象がするりと入れ替わった

 

漱石の女は真白な百合の花となり
百年後に庭先で邂逅を果たしたのだった

 

在るのは実は夢だけだ

 

母は亡くなる前にやはり涙を落とした
病院の窓の外から
大銀杏の葉の金色の波が部屋に満ちていた

 

母の目にその時何が映っていたか
大銀杏の葉の金色の波が映っていたのか

海の金色の波間に泳いでいたのさ
黄金色の稲穂の波をかき分け走っていたのさ
走馬燈のようにね


その時
わきに座っていた私も夢を見ていたのだ
アラン・ポーの夢
薄汚れた壁に映る夢
Nevermore
Nevermore
Nevermore
終わりなき追憶への哀悼を込めて大鴉がつぶやく
二度とない
二度とない

二度とない

 

そうだ
二度とはなかったのだ
いつも今が永遠だったのだ

 

Is all that we see or seem
Is but a dream within a dream
But a dream within a dream?
夢のまた夢
夢の中の夢
見果てぬ夢

 

ポーの中で夢は反転し解離し
いや
解離ではない
ポー自身が夢に消えた
夢を見た途端に消えたのだ
壁の中に

 

壁の中に消えたポーを私は見たのだった
薄汚れた壁の中に

That my days have been a dream
そんな私の日々は夢だった

ポーはそう綴ったのだ
悲痛で甘美な夢だったのだ

 

    3


あなたは見たことがあるか
六月
深山の奥の木々にやさしく抱かれ
ひっそりと隠れ咲き
つめたい雨のやさしいしずくに身をふるわせ
よろこびに
ゆっくりと透きとおってゆく
サンカヨウの花びら
触れてはならぬ
その奇跡の花

ゆっくりとその身を透きとおらせてゆく
そのよろこびを

 

そうさ

ひっそりと
淋しいほど悲しむほど
夢は磨かれ儚くなるのさ
どこまでも
どこまでも透きとおって
はてしなく美しくなるのさ


    4

壁の中に消えた若きともがらよ

 

こどもらの命を守ろうとしたがゆえに弾圧され
浴槽の中で手首を切り
炎熱の東北の古道の草叢に斃れ
そのとき君らの瞳に映ったのは大鴉だったかい

 

風呂場の窓から溢れる青空
すすきの穂波を揺らす熱い風

 

二度とない青空や風を見たのさ
君たちの持つ
愛の深さゆえに
やさしさの深さゆえに
渦巻く狂気や憎悪の目から逃れて
大鴉になったのさ

 

いや
かっこうになったのだ
言葉のない民衆のなかで
さみしい金子光晴が見た「かっこう」になった
さみしく悲しいかっこうになった

 

「霧の大海のあっち、こっちで、よびかはす心と心のやうに、かっこうがないてゐる」

 

そのようにわがともがらよ
霧の立ち込める林の奥で呼び交わすのだ
霧に沈む山里の村の中に呼び交わすのだ
さみしさを埋める愛を求めるように

 

さみしいほどに愛はみがかれ
かなしむほどに愛は香りたかく
愛は美しく透きとおるのさ
触れてはならぬサンカヨウのように
わがともがらよ

 

    5

 

喪失の悲泣のあとの鉄輪の轟々たる夢の攪乱
喪失の無残のあとの汽笛の音の炸裂する闇の氾濫
喪失の空虚のあとの蜜柑の香り

あなたよ
面影を残し
木立の向こうに消えたあなたよ
夢のあなたよ

 

大銀杏の金色の降り敷く中に
炎熱の芒野原に
一輪の白百合の花に
雨に透きとおるサンカヨウ
夢はしずかに降り立つ


    第三章


    1


僕が僕でしかなくなったのは
忘れもしないあの五月の安息記念日
やわらかな陽光と若葉の風と匂いが街中に満ちる午後
若い僕は安アパートの二階の小部屋に転がっていたが

 

道行く人々の健やかな笑い声と
きらめく窓辺がもたらしたあの倦怠の漂うひときれの
綿菓子のような雲に
ふと僕はめまいを覚えてしまったのだ
地球の核に向かって落ち込んでゆく僕の体重と
ふわふわと風に舞い上げられてゆく僕の体温と
僕はどうしよもなくてただこのめまいのうちに僕の重さを横たえた

 

海のむこうの逆さまの水平線
はるかに響いてくる熱帯のリズムと
心臓の鼓動とが重なりあって
この安息の午後には
神々が新しいいのちを吹き込むそうだが
しかし健やかな笑い声と
きらめく窓辺がもたらしたあの倦怠の漂うひときれの雲に
依然僕はめまいがとれないのだ

 

揚げ句に
どうしたのかと明日が僕に振り向きざまに囁いた瞬間
僕に残された最後の重ささえもが笑いながら
急な階段を転げ落ちて
ピョンピョンと街の雑踏の中に亡命してしまったのだ
それからというもの
残された僕は未だにめまいがとれない
いまだに僕は”僕”でしかない


    2


波濤は銀色の未知の恋
若い僕はひとり漕ぎいでたのだった
一万海里の果て
屹立する水平線の向こうを目指そうと
舟は愚かな若い夢を乗せて
銀色の恋に焦がれて
南海の秘密の扉を開けた

 

わずかに知り得た
砂漠のどこかに生きているという
オルティガ・カバジュナ・ブランカに逢いに
その一輪の花に逢いに
海図なき航海に出た

 

潮風よ
奏でる調べは遺すべき歌か
吟遊の歌よ
胸の内を語れ


     3


構内に横たわる血まみれになった若い男
うつろな目の機動隊の若い男
死は重ねられていった
落葉は木枯らしをさえ拒絶した

 

いつも
狂気と嘘だらけの埃に詰められて
同僚や子供もたくさん死んでいった
死は数字でしかなかった
言葉は偽りでしかなかった


花の舞う季節でさえ
いつも
子供や若者から先に死んでいった
どす黒い埃がそれを隠していった

 

いつも死ののちに花が舞ったが
見えた者は少なかった

明るい森の小道を
あなたがいつもよぎっていたのに気づかなかった

    4

銀色の波濤の
はるか向こうに何が在る

 

オルティガ・カバジュナ・ブランカ


南海の一万海里の果て
水平線の向う
七色の街がもう近くだ
その街を過ぎると砂漠が広がり
ひそかに咲く
オルティガ・カバジュナ・ブランカ

僕ははるか遠くからやってきたのだ
気づけば既に夢の中にいる私に
死者の声を聴かせよ
潮風よ
竪琴をかきならせ


    第四章


    1


夢を見たかい
生きてしまった絶望の夢を
壁にも窓にも無数の黒い蛭がびっしり張付いて蠢いていた

無言の巨大なコロッせウムの石段のあちこちに
血の滴る大きな肉片が夕陽に蠢いていた

 

不可解なことに
悪夢に対し善夢という言葉はない
うつつが夢なら夢がうつつなら
善い夢だって見たいのだった
生きてしまった絶望の夢を見たなら
生きてきた喜びの夢も見たいのだ


    2


 今はただくずれ墜ちよと東海の
 冥き瞑目たそがれの眠り

 

それが大袈裟なものでなく
主が去ってしまった家
主を失った犬小屋
用を終えた巣箱

 

蜘蛛の巣もただの巣なら
美しい廃墟だ

 

強欲の巣なら
火炙りの放射線まみれの廃墟だ

 

熱い風
真夏の炎天に焼かれて燃え上がる廃墟
モノトーンの強烈なコントラストが
燃え上る真っ青な空に浮かぶ廃墟
理知のたどり着いた
あまりのバカらしさに
嗤いすぎて知らず涙が落ちる
そんなかなしい虚構の風景の中に
三月十二日の
廃墟は哭泣し佇む


「お墓にひなんします」
二〇一一年七月九日
「このたび3月11日のじしんとつなみでたいへんなのに 原発事故でちかくの人達がひなんめいれいで 3月18日家のかぞくも群馬の方につれてゆかれました 私は相馬市の娘○○(名前)いるので3月17日にひなんさせられました たいちょうくずし入院させられてけんこうになり2ケ月位せわになり 5月3日家に帰った ひとりで一ケ月位いた 毎日テレビで原発のニュースみてるといつよくなるかわからないやうだ またひなんするやうになったら老人はあしでまといになるから 家の家ぞくは6月6日に帰ってきましたので私も安心しました 毎日原発のことばかりでいきたここちしません こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」

「自殺は個体の脆弱性に起因するので被告に責任はない」

 


幼いころ
草叢の下の赤錆びた引き込み線に
スズメたちの消えた銀色の巣に
錆びた工場の群れの立ち枯れの死に
あまりの静けさに
空き缶を蹴飛ばし
冥いみずたまりに映った空の深さを畏怖した
懐かしい記憶

 

そんな記憶さえ炎天に燃え上り消滅する


廃墟を写し取った鏡像さえ熱い風に揺られながら
繁茂する卉草に沈み
咽返る廃墟の海に飲まれ
南風はその無惨に哭泣する

 

いま
永劫の廃墟となる

 

我が七歳の満ち足りた感傷と
日焼けする肌の幼い興奮も
欠け堕ちてゆく
忘れ果ててゆく
廃墟の記憶

 

いま
ふたたびの夏を待ち
帰らざる風景の夢のなかに
夏を待ち
われ哀しみの影を踏む


    3


あなたが悲しみに沈む時

その涙のひとしずくに大地が震え
幾十万年の沈黙の中から
幾重もの巨大な断層がしずかに立ち現れる

 

愛する女のごとき天球のなめらかな曲線よ
晩秋の眩い透徹した大気のなかに
天空の碧い層のなかに
虹を描け
立ち上がる断層を祝え

 

ようやく手にした感情と理知のもたらす果実に
奪い合い貪りあい殺し合い
眼を血に迸らせ狂う人々に
その殺戮の人新世にサトゥルヌスは酔い痴れ
人々の血肉はサトゥルヌスの口からこぼれ落ちる
サトゥルヌスの饗宴をゴヤはカンバスに叩きつけた

 

それを我々は歴史と呼んだ

 

断層は嗤う

愚かな骨どもが
からからと
空無に散ってゆくさまを
煤煙となって空無に消えてゆくさまを

 

あなたよ
私は断層のため息を聴いた
あなたのもりあがる胸の温かみに
あなたの碧なす髪の匂いに 
うっかりため息を吐いたのだ 

 

砂漠のなかにたたずむ
あなたがいた

 

砂漠の朝の露が滴り落ちる水玉の中に
光と闇が交差するその一瞬に
あなたはひそかに咲いていた

 

砂漠の逃げ水に手を伸ばし
ただ空をつかむように
足掻いてきた私の夢の中に
あなたよ

 

断層は血の色の地層をかさね立ち上がる
あなたのなめらかに湿った肌は愛に息づく
私が呼ぶ声に
あなたから
断層から
太古の言葉が滲み出る
言葉の前の言葉が
さらにその前の言葉をまとって溢れ出る


その時
あなたの涙に大地が震え
幾重もの断層が立ち上がり
あなたの太古を言祝ぐのだ
幾十万年大地深く琥珀に匿われていた
あなたの血脈の涙が
眩い大気のなかに輝くとき
サトゥルヌスは黒い煤煙となって消えるのだ


あなたが涙するその度ごとに
巨大な断層は立ち上がる


私は立ち尽くしたまま虚脱する
屹立する水平線のはるか向こう
蒼く輝いている天蓋に
あなたの涙がすべり落ちる

 

そのとき
あなたの血の滲む温かな肌に
断層がそっとくちづけをする
あなたの肌のしたの血脈が震える


断層の匂いが
オルティガのやわらかな花を震わせる
唇を寄せるとオルティガは微笑む

 

オルティガの恥ずかしげな眼差しに
立ち上がったばかりの断層のため息が聞こえた

 

「お前のはなびらをおとせ」
「お前のなみだをおとせ」

 

太古の熱帯の断層の間から漏れくる喘ぎがこぼれおちて
断層は甘きくちづけをする
あなたの鼓動の
熱帯のリズムに
断層がしずかにくちづけする
甘く深く震える如くに

 

私は祈る
あなたの涙を断層が優しく
また
幾十万年匿うように
だからあなたよ
断層の琥珀のなかになみだを隠せ

 

銀の波濤を越え
いくつもの南の島を過ぎた私の胸に
はるかな
七色の街の向こう
砂漠の中で生き延びた一輪のうつくしき乙女
オルティガ・カバジュナ・ブランカ
遠き殺戮の荒野より来たり


       終章


 錦秋の落ち葉ふり敷く山辺
 森の奥なる秘笈の小道


明るい森の小道に
ふと影がよぎったのに気づかず
それは
あなただった


枯葉が風に舞い降りてきたが
気づかなかった
あなただったことを

 

木々は冬を迎えようと装いをあらたに急ぎ
落ち葉の煌く光の乱反射を
青空のレンズに投げかけ
おろかな私はどこにいたのだ

 

始めから与えられていたのだった
求めるものなど何もなかったのだった

 

あなたよ
私は踊る
落ち葉の小道の上で
くるくると舞い
風や光と舞い
森は歌い
谷川は奏でる
秘秋の曲を

 

世界は奇跡の曲に満ちていた
オルティガ・カバジュナ・ブランカは歌う
愛の歌を
喜びの歌を
化生秘笈の歌を
かぎりなく
ああ
楽しい
落ち葉と舞い
青空と舞い
夢に舞い
そう
楽しくなって私は自分の影さえ忘れたのだ

 

一人踊る私は
明るい森の小道にふと影がよぎったのに気づかずにいたが
それはあなただったのだ
オルティガ・バジュナ・ブランカ

 

やさしさをたたえ
一切の悲しみを涙に微笑み
耐え抜いたあなたよ

 

楽しい
そう
楽しくなって
私は自分の影を忘れたのでなかった
たどり着いたのだった
あなたの
あたたかな懐に抱かれ
秘笈錦秋の森に抱かれ
微笑みに抱かれながら
私は
楽しく
舞い踊る

 

冬はすぐそこに手を広げ立つ

明るい森の小道をよぎったあなたに
踊り疲れて
抱かれて
眠りに入る

 

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