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ある日の市役所でのこと。
受付の番号掲示板に自分の番号が表示されるのを待っていたときのことです。
椅子に座ってぼんやりとしていると、私の少し離れた斜め前に検温計が立っているのですが、一人のばあ様がその前に立ちました。小さな丸顔のかわいいばあ様です。
「前に立ってください」と検温計が声をかけるとばあ様はツツ~と一歩前に出ました。
「前に立ってください」と再び検温計が声をかけます。
ばあ様はまた一歩ツツ~と前に出ます。
すると検温計がまた声をかけます。
「前に立ってください」
ばあ様はまた一歩ツツ~と前にでます。
「前に立ってください」
ばあ様はまた一歩ツツ~と前にでます。
あれ?このばあ様どうなってんだと私は疑問が湧きましたが静観します。
するとまた「前に立ってください」
ばあ様はまた一歩ツツ~と前にでます。
ばあ様はきょとんとした顔で応じています。
そして最後には検温計の表示板に接吻してしまったのです。さすがにばあ様は「あれ?」と小さな声をだしましたが検温計はまた
「前に立ってください」と言うばかりでした。
七回ツツ~と前に出るのを繰り返した時に清掃のおばさんが通りかかり表示板に体温が表示されていることを教えたのでした。
ばあ様は検温計がしゃべるので体温も話してくれると勘違いしてたようです。
ばあ様は「ああ、でてた!」と喜んで去っていきました。
こりゃ良い光景をみたものだと私は意地が悪いのも忘れて温かな気持ちになりました。
さて成田さん、成田悠輔さん
貴方はこんな光景を前にしても
「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」
と言えますか?
あるいは、自分の親にそう言えますか?
イェール大学助教授の貴方が冗談ということで済ませますか?
写真 在りし日のナナとハチ