pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会14回

・団地内

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背を伸ばし春野を共に一歩づつ   淡雪

 

母の雛今年も共にリビングに    淡雪

 

待ち合わす横浜駅や春の午後    陽清

 

飾られしロビーの雛に真向ひて   陽清

 

梅東風やパンダ見送る人の波    陽清

 

イヌフグリ地上の春の目覚めあり  夏生

 

白き鳥飛びたつすがたこぶしかな  夏生

 

雨の下ぐんぐん伸びよ土筆坊    巴琴

 

桜花匂ふ下には菫かな       巴琴

 


背を伸ばし春野を共に一歩づつ

 

ご夫君とともに、おそらくは支えながら春野を歩く作者の感動が「一歩づつ」に込められて読む者を感動させます。入院し経管栄養だったご夫君を自宅での介護に切り替えて、今は経管栄養から口での食事にまで改善なさり、同時に歩行も恢復しつつあるというお知らせも頂きました。春の野原の美しい光景です。

 

母の雛今年も共にリビングに

 

同じ作者の句、今年も飾られた雛人形は作者のお母さんの雛人形と共に作者の雛人形が仲良く。室内での春の華やかさや趣はやはり雛飾り。
前の句同様「共に」が主題かな。

 

待ち合わす横浜駅や春の午後

 

お孫さんの結婚式参加のために遠い横浜まで出向いた作者は久しぶりの横浜駅に降り立つ感慨。一人で来られた作者を心配しながら待つ親族ですが、「一人で行けるわよ」と意気軒高な作者です。皆さんを春の午後の温かな風が包みます。

 

飾られしロビーの雛に真向ひて 

 

作者の入居するケアハウスロビーに飾られた雛飾り。その前を通るたびに「真向い」、雛人形の一体一体に見入る作者の心持ち。雛人形もそれは家族の履歴であり大事な思い出です。

 

梅東風やパンダ見送る人の波

 

ニュースになったパンダの中国への帰還を見送ろうと大勢の人たちが集まった上野。窓もない輸送車だったらしいですが、シャンシャンを愛する人たちにはそんなことはどうでも宜しいのです。作者はテレビでそんな様子をご覧になりながら、ふと涙ぐんでしまったそうです。見送る人たちや帰還するシャンシャンへの優しい思いの溢れる句ですね。梅東風が日本を包みます。

 

イヌフグリ地上の春の目覚めあり

 

どこの土地にも咲くイヌフグリですが、「地上の春」という大きなスケールが一層かわいいイヌフグリの花を引き立てますね。そして結句の「あり」という堂々たる余韻を打ち上げます。

 

白き鳥飛びたつすがたこぶしかな

 

私の住む団地でもこぶしの花があちこち開きました。純白の大柄な花は春風のなか「白き鳥飛びたつすがた」という見立てがぴったりです。やはり夏生さんらしい爽やかな描写です。

 

雨の下ぐんぐん伸びよ土筆坊 

 

昔はそこかしこに見られた土筆ですが今はどうなのでしょう。生活に追われて土手や野原に遊ぶ余裕もなかった私ですがようやく土筆発見。雨を吸ってどんどん育ちます。子どもたちも「雨」という養分を沢山吸って大きくなれ。

 

桜花匂ふ下には菫かな

 

桜と菫、あえて重ねました。ちなみに「匂ふ」には香るという意味や美しく輝くというような意味があります。この季節、日本の至る所で桜を楽しめますが今春は暖冬のせいか随分早く咲いているようです。

春一色の句会でした。

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