・
明けましておめでとうございます。今春初句会、本年も宜しくお願い致します。
七草や粥たっぷりと塗りの椀 陽清
三代の揃ふ食卓屠蘇祝ふ 陽清
北国の友を見舞ふや初電話 陽清
初春や門に花活け和の心 夏生
火を燃やしお神酒飲みほす元旦会 夏生
元日や三年ぶりの孫の声 夏生
団栗の窪みに光り遠き富士 巴琴
白梅の一輪咲きてあたたかし 巴琴
寝言いふ猫に同じや寝正月 巴琴
七草や粥たっぷりと塗りの椀
そのままの句ですと作者は謙遜なさるが、音の響きが最高の美しさです。「たっぷり」が中心となって句全体の音を調和させ、かつ幸福感を醸し出します。
三代の揃ふ食卓屠蘇祝ふ
今時は三代揃うのも難しくなってきた世相もあります。それだけに家族の揃う正月行事は大切です。屠蘇という表現も次第に消えてゆきそうな世相ですが、作者はそんなことも大事に守っておられます。
北国の友を見舞ふや初電話
「正月にすることは何でも初がつくのよ」と仰いますが、初電話を作者は選んでいらっしゃいます。遠い北国の友への電話。来週はロシアから最強の寒気団襲来とか。ま軍隊の来襲よりはマシ。電話代はこの携帯じゃ無料なので助かるわ、と、これも時代ですが時間を気にせずお見舞いの電話をかけられるのは良いですね。
初春や門に花活け和の心
夏生さんらしい句。門松ではなく花を門前に活けるという正月の装いと「和の心」という大胆な言い切り。「和」はとても魅力的な言葉です。平和、和み、和らぐ・・・花を活けるという機転もまた同じ。そういえば近隣では門松さえめっきり少なくなりました。ちなみに作者のお家では以前は三段松を飾られていらっしゃったとか。三段松、早速調べましたら字の通り、枝が三本横に並んでいます。
火を燃やしお神酒飲みほす元旦会
これもまた夏生さんらしさ全開の句。地元の摩利支天神社の元旦会に参加なさり、庭の焚火を囲んでお神酒が振舞われたとか。気持ちよく豪快な句ですね。
元日や三年ぶりの孫の声
お孫さんが可愛くてしようがない幸せな句。以前のお句にも登場したお孫さんはヘビが大好きでしたが、今も変わらずヘビ同伴で帰省したとか。個性が光るお孫さん。お母さんの進路でやきもきをものともせず、良いですね!
団栗の窪みに光り遠き富士
近くの山によく散歩に行きますが、足元は落ち葉がカーペットのように敷き詰められていて、ふと脇を見ると団栗がつやつやと窪みに輝いていました。「遠き」は「白き」とするか迷いましたが空間優先で作りました。
白梅の一輪咲きてあたたかし
庭の白梅が今春いつもより早く咲き出しました。小さな花びらもかわいいものです。ちなみに小梅が収穫できる愉しみもあります。
寝言いふ猫に同じや寝正月
猫が寝言をいうの?と驚かれますが、そうなのです。寝息の「スース―」とは明らかに違う「むにゃむにゃむにゃ~」なのです。たまに「ニャオオ~!」叫ぶときは何かに怒っている夢です。
写真 以前行った温泉旅館の玄関
写真 以前行った温泉旅館の玄関