pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会 第3回

 

 

若葉風一駅なれど旅気分       陽清

 

菠薐草さっと炒める午後の暇     陽清

 

行く春や音色残してピアノ行く    淡雪

 

おかえりと言ふ人ありや月朧     淡雪

 

さきがけの花ビラ黄色チューリップ  夏生

 

薫風や表参道病院か         夏生

 

新緑のいろどりにぬれ雨しずか    巴琴

 

爆裂の下に子のゐる狂ふ春      巴琴

 

 

若葉風一駅なれど旅気分

   今春の若葉の景は一段と美しく、当地は山も見渡せますので幸運です。その中で     作者は若葉の風を胸いっぱいに吸い込んで車窓から足早に訪れている初夏を楽しんでいらっしゃいます。

 

菠薐草さっと炒める午後の暇

   新鮮な菠薐草(ほうれんそう)を朝市で求めて午後の空いた時間、いよいよお楽しみ。グレープシードオイルというとっておきの油で炒めるとか。食にあまり執着のない私としても羨ましい愉しみのお時間とお見受けしました。

 

行く春や音色残してピアノ行く

   身辺整理も着々と進めていらっしゃる作者。愛着深い2本ペダルのピアノを見送る景。かつてお子さんやご自身も弾かれたピアノの音色が浮かびます。行く春とともに。

 

おかえりと言ふ人ありや月朧

   「ただいま」「おかえり」というごく普通の日常も年月の中でいかに貴重なものだったか。「や」が鮮烈に胸を打ちます。しかしその寂寥さえ月朧という言葉がやや艶を含んで大いなる春の景で慰めてくれます。

 

さきがけの花ビラ黄色チューリップ

    去年9月に植えた球根がようやく一本目花をつけたその感動。植え育てる感動は経験しないとわかりません。作者はその黄色の色にも喜びを感じます。

                                                 

薫風や表参道病院か

    電車を乗り継いで表参道にある病院へ向かう作者。ケヤキ並木も風もはや初夏を感じさせ、通院という気の重くなる日常の一コマ(「か」とは詠嘆を含ませたい表現)に新鮮な喜びもあります。また場所柄おしゃれする愉しみもあります。

 

新緑のいろどりにぬれ雨しずか

    新緑といってもグラデーション豊か。野も山も庭さえもその色に濡れ雨が一層その色を鮮やかにします。

 

爆裂の下に子のゐる狂ふ春

    相変わらず、子殺しまで平然と国家の名のもとに行う、地球上に充満する狂気。人間だけです。

 

 

 

 

 

 

 

写真 宮島弥山より。

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