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こうも長雨が続くと晴れ間が恋しくなるのは当然。
晴れて猛暑がぶり返すのは勘弁だが気象変動の成り行き次第。
気が早い私は中秋の名月を待ち望んでいるがまだまだ・・・
今年のそれは21日とか。
ま、その日くらいには長雨も去ってくれるだろう。
掲題の「吾が心秋月に似たり」、『寒山寺』の名句。詩集『寒山寺』の詩は作者名なしという。伝説では寒山拾得の詩。それほど『寒山寺』寒山拾得の二人は人々に愛されたのだ
。
中秋の名月は中国渡来の文化と言われているが、堂々たるこの句を見ればなるほど納得もするが、しかし月への憧憬は日本人の感覚としても引けは取らない。
月清みしのぶる道ぞしのばれぬ
世に隠れてとなに思ひけむ
『頼政集』
この歌は園城寺歌合せで詠まれたという。のちの以仁王の乱の因縁の場所である。この歌は己の覚醒の象徴として月詠んだ。その覚醒は「世に隠れてと」痛切。
なにごとも変はりのみゆく世の中に
おなじ影にてすめる月かな 西行
無常の現世と恒常の仏法の認識。
これや見し昔住みけむ跡ならむ
よもぎが露に月のかかれる 西行
上の歌に同じ。ついでに触れておくと西行の「和歌即真言」であろう。
例を挙げるときりがないが「吾が心秋月に似たり」という『寒山詩』の詩境と併せて読むと愉しい。もしかすると寒山拾得は月の兎となってぴょんぴょん飛び跳ねているかもしれん。なにせ寒山拾得なのだから。