pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会第8回


台風の居座る島の友案じ        陽清


目覚めれば未明三時や虫時雨      陽清


しらじらとカーテンの間より明くる秋  淡雪


ひとり夜を包む虫の音友となり     淡雪


ひらりきて黒てふたわむれ秋の庭    夏生


虫しぐれ闇に響けり鈴の音       夏生


満月の雲に宿りぬ奥武蔵        巴琴


青空に庭にとび出す猫九月       巴琴


台風の居座る島の友案じ    

仲の佳かった友が娘さんの住む南の島に移住してしまった。なかなか一人暮らしの厳しさがありますが、作者はそんな友の身を案じていらっしゃる。台風が心配ですが、きっと折あるごとに心配なさるでしょう。


目覚めれば未明三時や虫時雨 

夜中に目覚めてしまった。作者の体内時計は睡眠時間をしっかり計っていて正確に作者を目覚めさせるらしい。それだけ健康なのです。しかし、夜中の三時・・・早すぎだよ、と体内時計にこぼしながら窓を開けた作者の耳に虫時雨が・・・虫時雨に却って静寂を感じる私です。しみじみと季節感を味わえる御句です。


しらじらとカーテンの間より明くる秋 

ひとり寝の夜がようやく明け、白んでいく外の気配がカーテンの隙間から漏れてきます。暗い夜が明ける、秋が明かるく溢れてくる嬉しさ。明るい夜が戻りますように!


ひとり夜を包む虫の音友となり

前句と同じ作者、ひとり過ごす秋の夜長の淋しさも虫の音に励まされます。虫もその音も大切な友。伴。いずれ誰もが経験する「ひとり夜」、それに向き合う勉強をさせてもらっています。


ひらりきて黒てふたわむれ秋の庭

「ひらり」にその大きな黒蝶のイメージがあります。蝶の数え方の話題も出ました。蝶は「頭」が数詞らしいですが・・・イメージとしては私の個人的感覚では「羽(わ)」。そんな大きな黒蝶が悠然とつがいで現れ庭を飛ぶ。大きな御句です。


虫しぐれ闇に響けり鈴の音 

秋はやはり虫の音、虫時雨。前にも述べましたが、まさに時雨のように降り注ぐ虫の音のなかに、鈴虫の音が澄みわたる音色でひときわ鮮やかに心に響いてきます。自然の中で暮らす鈴虫の音色のあまりの美しさに作者は陶然とした感動を得ています。秋の夜長を鳴き通す~♬、思い出します。


満月の雲に宿りぬ奥武蔵

今年の中秋の名月は見事に輝いていました。この句はその満月が西に沈む前にわずかな時間雲に入った時の景です。大きな満月が雲のなかで一層大きく光を発散していました。


青空に庭にとび出す猫九月

6月以降、我が家の老描たちにはきつい天候が続いていましたが、九月にはいり爽やかな青空の日も増えました。元気がなかった猫もこの爽やかさに思わず外に飛び出します。とりあえず秋は過ごせそうです。

 

 

 

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