はなよ舞へ命ふるへしさまのごと
風のごとくや花の白馬は
まさきくや花にやすらふ日のもとに
春待つ梅の芽の動きつつ
春の花風に乗りてぞ我が宿に
夢のひととき舞ひ散らんかな
今はただ崩れ墜つべし東海の
冥き瞑目たそがれの底
ながらへばけふもアジ気はなからぬもさんまでまてぬ秋のよながか
鎮魂
半年のこの一生の涙かな烈しき日にも秋風のふく
友よまたあはむとぞおもふ新盆の送り火いまは星のまたたき
亡き父よわが不孝を憐憫せよ清き水汲む境内の夏
蝉しぐれ遠くなりゆく故郷にも去るもの疎くなるはずもなし
(震災より半年近く、漸く自分なりの鎮魂を表せました)
2011年08月22日 00時29
もの思ふと過ぐる月日も 五首
ものおもふこころもしらずながれゆく
はやみにうかぶうたかたのゆめ
あめやみのしじまのよるのものおもふ
こころも凪て有明の月
うつせみの土にうかべり
秋霖のふりそそぐ夜をおもひすてぬべし
あめやみて霧にしずみぬ
林にはかっこうの声とほくひびきて
月も日もながるる宵とおもふべし
おもひもかれし盃のかげ
ゆきもどりゆめあるらめやわがこころ
みぞれまじりのはるのやまかぜ
2011年03月07日 23時37分
こだまするおもひのはるもかそけくも
わたりまほしきあまのうきはし
2011年03月06日 18時49分
みぞれふるよしのの奥の宿明かり蒼き銀河の夢の枕に
2011年02月28日 23時58分
しら梅の枝よりこぼるるはなびらの
そのひとひらのおもひをぞみん
2011年02月28日 08時50分
ゆめ十夜はるの野にさくしらうめの
香りみたさば月もうかびて
2011年02月26日 17時57分
ぬばたまのよもやみがたきおもひなれ
いまひとたびのつきのあかりに
2011年02月24日 23時31分
あひ見てのおもふかぎりもつれづれ
のみちにまよはば月まちぬべし
2011年02月20日 19時29分
夏の終わりに 五首
ひぐらしの夏の終わりに鳴く声に
読経唱和す風たちぬれば
のわきたつこのゆふぐれの琵琶の葉に
ひとりごちたりわれひとりなれば
しとどふるのわきのあめのしじまには
彼岸の風もまたふきよすなむか
盃をあけてかみしむこしかたの
甘露も苦きこのゆふべかも
くれはてておもふことさへくらきよに
風たちぬれば夏もをはりぬ
2011年08月31日 17時00分
冬の日 即興一首
冬の日の枯れにし薔薇の花一つ
散ることもなく残り居りたり
趣味人も出入りするたびに「日記」が消えて、残ったのはこんなもの。ご憐憫のほど。