pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会15回

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トロミなきコーヒーふくむ藤のもと  淡雪

ひとり言応ふる人あり春の月     淡雪

筍やいまだ届かず母の味       夏生

カラカラとコーヒー豆挽く五月かな  夏生

春光の空を仰ぐやヨガレッスン    夏生

きのふよりけふの景なり山笑ふ    陽清

何処迄も広がる著莪や細き径     陽清

道一つそれて出会いしたんぽぽ野   陽清

花々のリレーに追ひつく若葉かな   巴琴

春雷や猫と眠りぬ山の家       巴琴


トロミなきコーヒーふくむ藤のもと

 

作者はご自宅で夫の介護を続けられています。それがどれほど大変なことかは言わずもがなですが、作者は一切それを漂わせずに、暮らしの悦びを夫の恢復ぶりに寄せて詠っています。聞けば、胃漏増設も来月には外せるようになるとか、たしか11月からは入院先よりご自宅に引き取って介護に全力傾注し新春からは散歩も可能となり、そして口からの食事の摂取も開始し、日に一度から始まりました。その悦びに藤の花が微笑んでいるかのような御句です。


ひとり言応ふる人あり春の月

 

去年9月句会での同じ作者の句を再掲します。

ひとり夜を包む虫の音友となり

ふと漏らしたひとり言に夫が応えてくれる。夫が長く入院していた頃の寂しさの感情から解放された悦びの句です。春の月・・・あたたかく見守っているようです。作者が懸命に支えてくれたことへの「応え」であり、「春の月」でしょう。


筍やいまだ届かず母の味 

 

亡き母の味をしっかり覚えておられる作者の母へのオマージュの句。作者の筍への悪戦苦闘ぶりに、まだまだねえとお母さんが天国でほほ笑んでおられることでしょう。

 

カラカラとコーヒー豆挽く五月かな

 

これは作者らしい爽やかな句です。「カラカラ」という珈琲ミルの擬音語が軽やかに五月晴れを呼び寄せています。そう、季節感はすでに五月なのです。豆から室内に広がる香りも嬉しいものですね。

 

春光の空を仰ぐやヨガレッスン

 

これは更に作者らしい句です。屋内でのレッスン中に窓から春光が眩いばかりに差し込んで、作者の瞳に青空が広がる・・・なんとも前向きにヨガレッスンまでなさっているとは。その元気な活力溢れる御句です。私などラジオ体操すら気力が失せましたが、ああ、なるほど、句会の女性は全員気力体力充実、男は負けます。世の中、ジェンダー論活発ですが、平等になれば女性に圧倒されるからオッサンどもは戦前の男尊女卑家族主義に妄執しているのではと納得。アホか。もうどうあがいても失地回復不能なのです。諦めな。

 

きのふよりけふの景なり山笑ふ

 

句作歴ウン十年の超ベテランの御句。見事ですね。「山笑ふ」という季語をさらりと入れて今春の素晴らしい自然の美しさを大きく描いていらっしゃいます。そう、日に日に見つめれば山の緑のグラデーションの鮮やかに変化していく楽しさを感じられますね。気持ちのゆとりと自然への眼差しに満ちた御句です。

 

何処迄も広がる著莪や細き径

 

作者のお話では、散歩の途中に細道にふと入ったら著莪の見事な群生に出会えたそうです。やはり歩いて時には普段歩かないコースも良いですね。著莪花は一日ですが次から次へと咲いてくれます。著莪という漢語に合わせて句全体を漢語に統一なさってます。

 

道一つそれて出会いしたんぽぽ野

 

この句も前の句と同じように、道を一つ逸れて歩んだ出会いが描かれています。たんぽぽの群生の風景も近ごろ見なくなりました。たんぽぽの思い出など話は盛り上がりました。まことに綺麗に流れるような御句です。

 

花々のリレーに追ひつく若葉かな 

 

今春は心から花々を楽しめました。まるでリレーをしているように次から次へと様々な種類の花が咲いてくれましたが、ふと見れば楓も柿の木も若葉を出して競っているかのようです。

 

春雷や猫と眠りぬ山の家

 

句作の困ったときの猫頼み^^
猫のモン太郎はいつも一緒に寝ています。一緒だと安心しきって雷鳴も平気で寝息をたてながら熟睡しています。


今回も楽しい茶話句会となりました。
皆さんの前向きで活力溢れるお姿に私も元気を頂きました。

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