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先日の深更のこと。
ふと目が覚めた耳にざあざあと雨の音が聞こえてきた。雨も良いなとぼんやり聞いていたのだが、目覚めついでにトイレに立ち、戻りしなカーテンを開けると満天の星が瞬いていた。雨音と聞いたのは勘違いで庭や公園の葉ずれの音だった。
木々がゆっくり大きく揺れてその葉ずれの音はざわざわと聞くよりざあざあと覚えたのだった。
カーテンと窓を開け放ち再びベッドに横になった。星空の明かりが差し込み、風が顔や毛布から突き出した足を撫でて爽快この上ない。このまま消えてしまえば最高だななどと、そう言えば、そんな瞬間はここ数年幾度も感じてきたなどと半睡の脳に思い返して居た。
いま、やはり秋晴れとしか言いようがない明るい日差しを浴びて、居間の外に置いた棚の上に猫のミーちゃんがうたた寝を愉しんでいる。傍目にうっとりとした寝顔に見える。緩やかな風が毛を撫でて、やはり爽快なのだろう。いや、爽快ではなく快適か。心地よい、か。
このまま消えてしまえば最高だななどと馬鹿げた事は一切考えずにこの瞬間瞬間に自分の最も心地よい暮らしに身を任せている。ミーちゃんにも葉ずれの音も聞こえているだろう。ただ今の音はさわさわ、優しい葉ずれの音である。金木犀の甘い香りも時折流れてくる中で。
写真
うたた寝ミーちゃん
入間川渓谷と近くの畑、昨日久しぶりに歩きました。