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ラーメンを半分っこしよ柿落葉 淡雪
ノラの冬メスネコたずね寝そべけり 夏生
ほうちょうでたたいて割りぬ花梨の実 夏生
綿虫や帰路の坂道息荒く 陽清
小春空古民家までと歩を延ばす 陽清
故郷の山冠雪といふ便り 陽清
秋雨の窓打つ夕べ朱ひとつ 巴琴
長き道歩き疲れて草紅葉 巴琴
ラーメンを半分っこしよ柿落葉
う~む・・・互いに食が細くなってきたとはいえ・・・作者の夫君への愛はとどまらず・・・介護俳句の範疇を軽々と越えて愛の俳句、老々介護の大変さは微塵もなく、私ももろ手を挙げて降参。まあ、あてられっぱなし。参った参った。
ノラの冬メスネコたずね寝そべけり
こちらはネコちゃんの愛の俳句。とはいえノラは作者のお家のお嬢さんにはどうやら相手にされてないようで・・・春まで待てない?そんなこったから袖にされるんだよ。とまあノラ男はふてくされてお庭でヘソ天。みっともない。ユーモアの一句。
ほうちょうでたたいて割りぬ花梨の実
これは普段しとやかな作者の隠れたお姿がつい俳句となりました。
この~!っと花梨めがけて包丁振り上げ一刀両断!迫力満点の一句ですね。
綿虫や帰路の坂道息荒く
綿虫の便りも聞く季節となりました。かわいい綿虫ですが大量に群舞するとまた大変。作者の前では数匹。帰る坂道に息を切らして頑張る作者。そういえばハウスでも階段を登るトレーニングに頑張っていらっしゃる。整体師から「やはり歩く努力が一番」と言われて実行できる気力は立派です。男の方が概してだらしないのです。
小春空古民家までと歩を延ばす
小春日和の晴れ渡った空の下、散歩は鍛えるというより愉しみとなります。作者は近在の登録有形文化財となっている古民家まで散歩しましたが「歩を延ばす」気力は体力への自信とともに秋の風情を愉しむ気持ちを引き出すのですね。そして愉しさがまた気力を導きます。好循環。それが俳句の愉しみでもありますね。
故郷の山冠雪といふ便り
まことに句歴数十年の作者らしい闊達な句です。さりげなく、そして余韻の深い表現。読む者に様々な光景を与えてくれます。
秋雨の窓打つ夕べ朱ひとつ
私の好きな情景のひとつに、秋雨の情景があります。秋の「夕べ」も同様。そんな窓外に赤い薔薇が一輪高い位置に見えました。
長き道歩き疲れて草紅葉
年齢とともに少しずつ脚力も落ちていきます。同じ距離でも疲れ方でそれが実感できます。「長き」と感じたことがその証左。やれやれ。とため息は禁物。秋の山疲れてもなお草紅葉かな(上に5.7をどなたか付けて頂けるとありがたいです^^)。
今回の句会に久しぶりに淡雪さんが来てくれました。ほぼ1年ぶり。お元気な様子に皆さん安堵され、また一層楽しい句会となりました。ありがとうございました。
動画 一風変わった「愛の讃歌」です^^
「北村宗介 」の歌唱力です。