pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会25回 2月16日(金)

 

豆まきす夫の後追う犬コロロ      淡雪

 

湯のたぎる音のみ午後の雪激し     淡雪

 

春うらら祖父母の生きた街に生く    夏生

 

豆まきの吠えたる父の福は内      夏生

 

光射し雪も解けたり春の庭       夏生

 

立春やかくしゃくとして百二歳     陽清

 

かくれんぼ園児等の声春を待つ     陽清

 

休耕の畑一面春の草          陽清

 

枇杷の花香りただよひ深呼吸      巴琴

 

四十雀番いで巣探し呼び交わし     巴琴

 

蝋梅のあけぼのを受け灯り居り     巴琴

 

 

豆まきす夫の後追う犬コロロ

 

追想の句。愛犬コロロはもういませんが作者の心に生きています。そしてまだ夫の元気だったころの姿を愛おしんでいらっしゃいます。思い出は宝です。心の中で磨き上げられ宝石のように輝きを放ちますね。

 

湯のたぎる音のみ午後の雪激し

 

さて・・・現在の景か追想の景か・・・たしかに先日当地では珍しくかなりの積雪がありましたが・・・「湯のたぎる」という情景は遠い過去の時間を感じさせてくれます。どちらで読むかは読者の判断です。そして主題は・・・「湯のたぎる」と「雪激し」から喚起される無限の静寂か・・・深い世界の句ですね。

 

春うらら祖父母の生きた街に生く 

 

作者は代々当地で暮らしてこられました。深い故郷への敬意と愛着に祖父母の面影が漂っていますが「生く」には強い意志が込められています。犀星の「遠きにありて思ふ」なんて微塵もない潔さです。

 

豆まきの吠えたる父の福は内

 

「吠えたる」良いですねえ!作者らしい言葉選びで力強いです。父への追想の句ですが、お父さんが生き生きと眼前に立ちはだかって「福は内~!」と咆哮している姿。かつて日本の父は強く鬼に立ちはだかっていたのです。家族を守るために。

 

光射し雪も解けたり春の庭 

 

雪が光をうけて眩しく輝きながら、ゆっくり解けていく。春の美しい日本の情景ですね。雪の輝きと解けだす水の美しさに合わせそんな朝の空気の瑞々しさはまた格別の美味しさですね。

 

立春やかくしゃくとして百二歳

 

作者の身近にいらっしゃるご婦人のお一人が「かくしゃく」として百二歳!自立し心身お元気とは、いやはや驚きます。しかも立春が誕生日でお名前も立春に因んでいるとか。昔は55歳で定年だったのにね、とかどの句にも昔話に花が咲くたんぽぽ句会です。

 

かくれんぼ園児等の声春を待つ

 

公園に園児たちの無邪気なかわいい声が溢れる景。寒さにも負けない元気な声に作者はにこにこと愛情を感じます。春を待つ、愛情をこめて待つのですね。

 

休耕の畑一面春の草

 

休耕中の畑を覆うピンク色の春の草ー仏の座ーの美しい景です。ああホトケ様の草と感動なさっていらっしゃる。雑草と呼ばれている草花もよく注意してみると実に美しい。

そんな感性を失いたくないですね。俳句の世界です。

 

枇杷の花香りただよひ深呼吸 

 

そのままの句。思わず深呼吸したくなります。

 

四十雀番いで巣探し呼び交わし

 

以前我が家の門柱の上に置いていた狸の置物の中に四十雀が巣作りをし子育てをしていましたが、猫のハチが落としてから来なくなっていました。それが先日復活しそうな四十雀の姿を発見。二羽で呼び交わしながらもう一つの狸の近くまで・・・もうハチはいないので巣作りしてくれると嬉しい。

 

蝋梅のあけぼのを受け灯り居り

 

そのままの句。蝋梅は日中も美しいですが夜明けの風情は最高です。

 

 

 

さて、句会も皆さまの努力で三年目に入りました。継続は力なりと申しますが、稚拙な私がやってこれたのも皆さまのあたたかい運営とたんぽぽさんのご厚意のたまものです。感謝しつつ愉しんで参りたいと思います。