pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会第10回

きのうよりきょうのいろなり初紅葉  陽清

 

紅葉かつ散る公園や立ちてゐる    陽清

 

紅葉かつ散る公園に佇みし      陽清

 

立冬や日差しあふるる部屋ごもり   陽清

 

仏閣に秋の錦や友と居る       夏生

 

七十歳に初孫抱けり秋忙し      夏生

 

秋寒し四人息子の母逝けり      夏生

 

冷え冷えと銀河の宵や雫石      巴琴

 

晩秋のアンドロメダの下にゐる    巴琴

 

思ふだけ泣きて笑ひて紅葉ちる    巴琴

 


きのうよりきょうのいろなり初紅葉

日に日に深まる秋の色もやはり紅葉の鮮やかさは代表です。その色も一日一日と深まっていく命の姿。やはり秋よね!という作者の言葉。秋の紅葉の期間の長さは春の桜よりずっと長く楽しめます。日本だから感じられる秋の彩りの豊かさ・・・話題は秋の文化論にも少し触れました。


紅葉かつ散る公園に佇みし
紅葉かつ散る公園や立ちてゐる  

「紅葉かつ散る」は紅葉し、また散っていく姿を描く季語とか。不勉強な私は知りませんでした。
作者は「に」とするか「や」とするかで悩んでいらっしゃいます。どちらが良いか、読む人の判断をいただきたいところです。

  

立冬や日差しあふるる部屋ごもり

立冬という語感ならばこそ中の句の「日差しあふるる」のありがたさが映えますね。また「こもる」という語、近年はマイナスのイメージばかり喧伝されていますが、このようなイメージこそが本来でしょう。部屋にこもって静かに立冬の日差しを味わう、こもるはそんな在り方を示しています。

 

仏閣に秋の錦や友と居る 

親しい友と仏閣、つまり堂々たる伽藍や門構えのお寺参りをなさった。そこは想像以上に鮮やかに紅葉の燃え立つ世界。その錦の中に共感を持てる親友と二人佇んでいる美しい情景。叙景ですがその友情は叙景を深めますね。

 

七十歳に初孫抱けり秋忙し

幸せあふれる句。七十歳にして初孫を抱ける悦び。秋の忙しさも悦び。そんな知人のお姿を詠んだ作者も同じく悦びに満ちていらっしゃいます。

 

秋寒し四人息子の母逝けり

一転して別の知人の辛い姿。百寿の方がお亡くなりになった、その後の家族の「寒い」姿。昨今よく聞くことですが痛切な世界です。

 

冷え冷えと銀河の宵や雫石

10月末作者は盛岡~雫石~花巻と旅行しましたが、その時の句。雫石の山腹にあるホテルから夜間運行のロープウェイで更に登り、終点で銀河の散歩。天体専門の方がガイドとなって星座を楽しみました。本当に久しぶりの銀河、天の川がくっきりと天に流れていました。天の美しささえ隔絶された現代です。流れ星も数個。

 

晩秋のアンドロメダの下にゐる 

これも同じ場所。「秋の大四辺形の角の北東にうっすら輝いているのがアンドロメダ星雲ですよ」そしてギリシャ神話に誘われながら250万光年先から届く光を見つける。星ではない巨大な銀河。草地にハンモックを借りて仰向けで愉しみましたがさすがに冷えました。

 

思ふだけ泣きて笑ひて紅葉ちる 

今年を振り返ってまた過ぎし長い日々を振り返ってゐるだけの句。なく、は実は多様な様態がある。楽しすぎても泣く。笑いすぎても泣く。悲しすぎても泣く。したがって、「笑ひて」はその意味では不要だが分かりやすくするためにあえて入れました。

 

 



会員さんの淡雪さんがご主人の入院から在宅介護への切り替わりで休会となりました。大変なご苦労でしょうがなんとか頑張っていただきたいと全員祈っております。