pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会19回 8月18日

 

駅へ行く近道日傘傾けて        陽清

 

八月や今日は朔日おこわの日      陽清

 

墓詣子等に託すや我が齢        陽清

 

夏空や猿と会へたり吾野宿       夏生

 

淡き色オクラ畑の風の道        夏生

 

日替りのセミの読経けふは映え     夏生

 

小窓より虫の音ほそき雨あがり     淡雪

 

入院を『じゃあね』と見送るコロナ夏  淡雪

 

老ひし猫夏の木陰に耐えて居り     巴琴

 

盆唄や人影ゆれて花ゆれて       巴琴

 

 

駅へ行く近道日傘傾けて

 

夏の情景が鮮やかに浮かびます。「傾けて」が愛らしく、かつ、じつに良い動きを感じさせますね。俳句の王道の一句と見ます。

 

八月や今日は朔日おこわの日  

 

「ケアハウスでは毎月、一日の夕食はお赤飯なので楽しみにしています」毎月始めにお赤飯とは心遣いの素晴らしいハウスですね。お祝いのお赤飯です。今月また元気に頑張りましょうという、日々を大事にする心が感じられます。また八月は日本人には特別な月。「や」という詠嘆。慰霊の月です。広島長崎そして敗戦にお盆・・・

大事に過ごしたいものです。

 

墓詣子等に託すや我が齢 

 

「お墓は札幌なので娘達に誘われましたが行かなくてよかったと思いました。旅先で熱をだしたらたいへんでした」そうなんです。作者は今回コロナ罹患で句会も欠席されましたが、このように自室から投句頂きました。有難いことです。米寿を迎えられた作者は「託す」べきことは託し、また、それが可能であるという人生の豊かさの中にいらっしゃる、僭越ながらそう感じました。

 

夏空や猿と会へたり吾野宿

 

帰郷の娘さんご家族と吾野宿をドライブなさったときのエピソードの句。橋の欄干に猿がちょこんと座っているのを発見。一番喜んだのはお孫さん。まあ都会にはおりません。お盆の帰郷で忘れられない思い出になったでしょう。勿論皆さんも。さらに運が良ければ鹿や猪、ニホンカモシカも出会えます。

 

淡き色オクラ畑の風の道 

 

ご自宅お庭の前に広がるオクラ畑に淡黄色の清楚なオクラの花がちょうど盛りとか。お写真を拝見すると、畑一面広がるとなかなか壮観な美しさです。で、風の通り道になって花たちが囁き合うように揺れている・・・美しい感動の句です。

 

日替りのセミの読経けふは映え 

 

「日替り」とは日々セミたちの種類や鳴き方の替わること。その鳴き声が「読経」のようだと作者。なるほどね。面白い捉え方です。で、その読経の上げ方に上手い下手があって「ふむ、今日の読経は良い!」と詠んだ句です。作者らしい生き生きとした、ユーモラスな一句です。

 

小窓より虫の音ほそき雨あがり 

 

「秋はすぐそこ・・・」そうですね、酷暑の真夏もようやく過ぎて虫たちの出番が来ます。台風は別として雨は干天の慈雨。その雨あがりに虫たちは鳴き始めます。「小窓より」が「ほそき」に呼応してやはり手練れの句です。

 

入院を『じゃあね』と見送るコロナ夏 

 

作者もご主人とともに今夏コロナ罹患となりました。ご主人の退院後作者がご自宅で介護とリハビリの努力を重ねて歩けるようになって一息の日々にコロナに襲われました。ご主人はまた入院・・・幸い治癒してご自宅に戻られたとか。本当に大変な中、二句投句頂きました。その、夫の入院への見送りの句・・・『じゃあね』という軽い挨拶にはそうとしか言えない万感が込められていますね。

「『うん』と答えた夫の顔がなんとも言えませんでした」との作者の言葉を付記します。

 

老ひし猫夏の木陰に耐えて居り

 

我が家の二匹の老猫たち。暑さに弱いのかと心配すれば冷房の部屋より庭を選らんでいます。ただ食欲はともに衰えています。まあそれは私も同じ。

 

盆唄や人影ゆれて花ゆれて

 

お盆になると故郷の盆踊り大会を時おり思い出します。昔は盛大でした。民謡も盛んな土地でした。

 

 

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