pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

たんぽぽ句会第17回


糸とんぼ川面に近く連なりて    淡雪

 

残されし桑の木一本実のあまた   淡雪

 

夏山の麓にまぶし山ガール     夏生

 

夏風や夫の音する台所       夏生

 

青梅の重なり浮くなり梅酒ビン   夏生

 

良きひと日昏れて六月誕生日    陽清

 

しばらくは歩を止め沙羅の花の下  陽清

 

万緑や山近からず遠からず     陽清

 

姫沙羅の白きかんばせ雨にぬれ   巴琴

 

奥武蔵雨に烟るや音もなく     巴琴

 


糸とんぼ川面に近く連なりて

巾着田を歩いたときの句。おそらくご主人と連れ立って。糸とんぼは最近見なくなりましたが、近くで見られたとは嬉しいことです。まことに美しい姿。私事で申し訳ありませんが、大阪で幼いころほっつき歩いていた時のこと。薮をかき分けて池に出ましたが目の前を青く光る糸とんぼがスーと横切りました。まことに神秘的なあるいは幻想的なシーンでした。


残されし桑の木一本実のあまた

「病院の隣の敷地に大きな桑の木だけがあり、たくさんの実が熟していました。小さいころよその家の桑の実がうらやましかったことを思い出しました」との作者のコメントです。いましたよね、口の周りを赤紫色にした友達が。スグリとかは駄菓子屋で小さな紙袋に入れられて5円で売られたりもしていましたが、昔の子どもは山野でいろいろ見つけて食べていました。そのせいか免疫力が鍛えられたり。今の子どもたちよりはるかに広い世界で遊んでいました。そういえば、飛んでるハチを捕まえて食べたという米寿の人も・・・一同目が点になりました^^。


夏山の麓にまぶし山ガール 

「まぶし」が効いていますね。当地「山ガール」発祥の地?か、山も町も服装をビシと決めた「山ガール」たちがまばゆい緑のなかを颯爽と歩いています。爽やかで元気のでる句です。あ、「山ガール」の対義語は山男?じゃあ山女もり。となると、なんか昔話にも世界が広がりそうですね。


夏風や夫の音する台所 

いろいろと解釈して楽しめる句です。持病のある夫がどこにいるかを聴覚で把握なさっている作者。初読時、あ、これは「ゴキブリ亭主」のことか、じゃあ私も同じと想像しましたが、「夏風」という爽やかな世界なのでそんな想像は無理。あくまで夫を気遣うやさしい作者です。「お、庭に出てるな、あ、私の植えた庭木を切るなよ!」なんて、聴覚アンテナが張り巡らされた世界も楽しいものですね。


青梅の重なり浮くなり梅酒ビン

まさに今の句。コロコロと新鮮な梅がビンの中で踊っているような動きのある「中の句」の情景が楽しい。我が家でも大量に梅の収穫がありました。


良きひと日昏れて六月誕生日

今月に米寿を迎えられた作者の喜び、それはひ孫さんまで集まって都内で盛大にお祝いされたということよりも、沢山の係累のそれぞれのお気遣いへの感謝ということ。しかし、翻って、それは作者のまさに「生き様」の結果なのですね。長いご苦労の上の今の安堵。もしかしたら「ひと日」の「ひと」は「人」かもしれません。


しばらくは歩を止め沙羅の花の下 

さすがに熟達した句境の作者の深い句。何気ない用語に深い余韻を醸し出します。万感の句。素晴らしい。


万緑や山近からず遠からず

お部屋の窓から見渡す奥武蔵の山々。みごとに大きな景です。「万緑」という使うに難しい言葉がさり気なく感動を自然にしています。やはり熟達の句。


姫沙羅の白きかんばせ雨にぬれ

姫沙羅の小さな白い花、雨に濡れたすがたが美しく「かんばせ」を使いました。一輪挿しに活けたりもします。

奥武蔵雨に烟るや音もなく

奥武蔵の山々が雨に烟っています。静かです。


以上、今回の句会も皆さんの温かな優しい心で楽しく終了。持ち寄ったお菓子など、句会サロンです^^

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