序
弓張の月にはずれて見し影の
やさしかりしはいつか忘れん (山家集)
黒々に垂れこめる雲と畳々たる山の端から漏れ来る赤き光の矢のごとき一筋に震撼する刹那のあはれよ。破鏡する古人の思ひの脆きさまにも似たるその玉響の清らなるふれあひのおとずれよ。忘れえぬその残り香の夜床の月に魅せられしかな。昨日けふとて思ふに及ばずやは。弓張る月に逢はんとぞ契りし文もあはれなれ。
前詩に続き私の創作『竹取幻想』の続きです。もともとは生徒用の教材として始めたものです。
46000文字くらいの中途で終わってましたが、今回改稿しながら仕上げたいと思っています。完成するかどうかわかりませんが、何としてもこれだけはとの執着。ご笑覧下さい。