pakin’s blog

主に創作を主体とします。ただし、人権無視の最たる原発問題や、子どもの健康や命を軽んじる時事問題には反応します。

読後感想文 竹取幻想

読後感想文 竹取幻想

 

 

すべては夢物語である。

読み終えれば夢から覚めるはずだった。

宇宙を、 時空を、 想いのなかを少年と小侍従は旅をしている。 異相空間の旅をしている。

 

 

ただし少年の思いは小侍従の体験を追うのである。

小侍従は少年の憧れに気づけない。

彼女は恋をしている

少年の憧憬は小侍従に内包され小侍従の旅を追体験することになる。 源の頼朝以前の世界。

当時戦は個人戦、 刀よりは槍、 なぎなた、 弓矢が主力であったという。 人が人の時間をすべて奪う行為であるが当時の戦は悲しく美しい。 戦に和歌の模様が施されている。

この物語はしかし和歌の世界の中に戦が生きているのである。 急に平忠度、 清盛公や源頼政という老武者が見える。

 

老驥伏櫪、志在千里

 

日本画特有の曲線のみによる描写の顔から陰影を伴う貌へ。

笑い、怒り、悲しみと書いていくうちに、うん、と気づく。 怒りが見えない。

怒りは本当に持続しないのだろうか。

これは竹取物語である。

小侍従はどこに帰ってゆくのだろう。

月は瀬戸内海の波の中にあってもよいだろう。

かぐや姫が女である必要はない。

いや男でもない。

未来永劫期待を受け続ける神だとよい。

ひとは今日も汗をかいて働く

眠りをけ破り朝が来る

でも起きる必要はない

と小侍従がつぶやいている

少年は眠っている


2022年10月1日 雄峰


竹取幻想への感想を新しく頂きました。まことに独創的な表現とご理解を詩的な表現で頂きました。心から御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

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