2015-01-01から1年間の記事一覧
・ 郷里も昔は今より雪が多かったのだろう。 木造の駅舎の周囲は雪に埋まりプラットフォームにも雪が吹き込んでいた。 汽車であった。 つるりと塗装された木の座席に車内灯の橙色が照り返していた。 窓の下に蜜柑が輝いていた。売り子さんから窓を開けて買っ…
・ 花 やさしさよ風になれ 春を待つ木々の芽をなで 地中の種をふくらませ 厚い氷の湖面を吹き抜けよ 春は名のみ されど ここかしこ 春を待つ息吹をつつみ 小鳥たちも ナナやハチたちも浮き足立ち 春の香りを浴びたくて 躍動の時を待ち焦がれている しずかな…
ザ・ピーナッツの類いまれな歌唱力によってこの曲は最大限の美しさを持ったと思う。 ***・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・*** 『北上夜曲』 誕生秘話 http://jirotan-nikki.cocolog-nifty.com/blog/2011/1.. 発売から50…
『The World is waiting for the Sunrise 』 Benny Goodman 1980 http://www.youtube.com/watch?v=nZazFYqtQC0 世界は日の出を待っている 長すぎる闇だが 無駄に長いと思うな 無駄な犠牲などない 私たちは犠牲を見つめる愛を忘れない 日本原電が発電せずに最…
31日 平等院 無動寺を谷から上がって行く時には結構疲れが出ていました。 ところがその坂道を足の悪いお祖母さんが2本の杖でゆっくり上がっていきます。追い越して大鳥居のところまで来るとご主人らしき人が石に腰掛けてお待ちでした。 大変だ、という感覚で…
なんだかんだあれやこれやと師走かな 小春日の水面に浮かぶ雲ひとつ 顔無き顔巷に溢れる師走かな 顔無き顔己の顔なり小夜時雨 顔泣き顔拭いてもなを時雨傘 冬の庭枯れ葉散りしきハチ帰る なんだかんだ忘れてしのぶ床夜月 注 ハチは今年6月に来た家猫でまだ生…
三井寺~無動寺 (改稿再掲) ・ 31日9時半三井寺着。 園城寺町という町名、三井寺の本来の名前から来ている。 平安末、度々比叡山と争い、あの弁慶が比叡山から降りてきては暴れたらしい。私の「竹取幻想」においても園城寺という名を使わせていただいてい…
寂光院・大原 (改稿再掲) 10月30日大原 10時20分京都着。 11時半大原着。 昔の記憶など殆ど残っていない。雪の寂光院を歩いた記憶だけが眩しく残っている。 標識を頼りに寂光院を目指す。 この道は土産物屋が少なくていい。 私の他に歩いている人は一人二…
老健施設と3ヶ月問題、庶民を鍛えよ!てか? 夕食後ウトウトとだらしなく眠ってしまった。 どうも還暦をすぎて夕方から夕食後にかけて居眠りをすることが多くなった。 夜中、寝るタイミングを外すともうダメで、庭で一服と出たら煌々と月明かりが木々の葉を…
歌う女 『灼熱の魂』 「監督からのメッセージ」 http://shakunetsu-movie.com/pc/message/ 映画館で観てそのまま放っておいた作品です。 昨夜、レンタルで改めて鑑賞して漸くこの作品の感想めいたものが疼きました。 レバノン、中東の悲劇を背景に、女性、母…
Glenn Gould- Bach's Piano Concerto No.1 http://www.youtube.com/watch?v=J6uqD_D07PU ふと、久しく手に取らなかったグレン・グールドのCDBOXからこのCDを聴いた。 イヴの夜。 といっても私は無宗教なので彼らの感慨は持ち得ないがバッハという宗教音楽…
子供を忘れたあなたに Ⅱ餓鬼道 子供を犠牲にしてあなたは平然と過ごせるだろうか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38000人を超える子供たちのうち、36%の子供の甲状腺に、異常増殖、嚢胞(の…
子供を忘れたあなたに この国は哀しからずや子供さえ眼中にない愚かさに満ち。 (子供のことを本気で考えればすべての政治問題は解決する。) 『 国民のうち「まとも」なのは3割である。すなわち他7割は被爆の犠牲にしようがやむを得ない 』 この言葉は被爆…
幼子へ 詩(旧作改稿) おさな子が ふたつの丸パンをもらい あどけなく 微笑む 忘れてはならない 大震災の荒野。 命は やさしさによって 絶えることはない。 どのような命も 昨日も明日も 朝露の如く消えようが きみが生きてるということは そういうことだ。…
降染の花 あなたの心に 沖縄を忘れるな ・ まずは http://www.youtube.com/watch?v=x-9BJLs3Sv0 映画「月桃の花」主題歌 【作詞】海勢頭 豊 【作曲】海勢頭 豊 1.月桃ゆれて 花咲けば 夏のたよりは 南風 緑は萌える うりずんの ふるさとの夏 2.月桃白い…
花祭 花祭 http://www.youtube.com/watch?v=N3bOdETL3rk 春の風 花の祭りを呼び起こし 野にも君にも幸多かれと 祈りては 精魂込めて作りぬる 大熊町の花園やある 避難後も 立ち寄りて見る花園の 荒れたる野にも無人の町も 九輪草 藤の花園あるじ待ち 春をま…
G・ガルシア・マルケスのこの短い物語を漸く自分なりに読み終えて、今更にマルケスのスケールに圧倒される思いである。 文章技術や文字通り該博な教養が基盤であることは言うまでもないが、その作品の本質は、「詩人」であり、わが卑小浅薄な鑑賞力を棚に上…
・ ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケスは今年4月17日に亡くなった。 http://www.all-nationz.com/archives/1009130196.html 今回ご紹介させていただく「悦楽のマリア」などは、カタルーニャ独立運動を象徴的に描いている。かつ、「愛」を、個人的な領域と…
・ たまゆらの露も涙もとどまらず なき人こふる宿の秋風 藤原定家 本来は定家が母の死を悼み父俊成に贈った歌である。 玉の触れ合うが如き露、儚き露の如き涙は美しく響きあう音を秋風の吹きすぎる音に載せて、慰めとして置きながら母の死を哀傷する。 宿は…
・ 見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの秋の夕暮 藤原定家 (巴琴勝手訳) <ふと気づくと、どこにも花や紅葉の美しい景色はここにはない。冷たい潮風にさらされて、夕暮れの寂しい浦のあばら家があるだけだ。> 前日記において「モノクローム」と…
・ 心なき身にもあはれはしられけり 鴫たつ沢の秋の夕くれ 西行法師 「西 行の「鴫立つ沢」の詞書には「あき、ものへまかりける道にて」とある。西行はたまたま夕暮れ時にある沢にさしかかった。木々はモノクロームの風景となって 広がっている。その静けさ…
・ 三夕の歌 ・さびしさはその色としもなかりけり まきたつ山の秋の夕暮 寂蓮法師 ・ 心なき身にもあはれはしられけり 鴫たつ沢の秋の夕くれ 西行法師 ・ みわたせば花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの秋の夕暮 藤原定家 (新古今和歌集巻第四) 高校の時に…
・ 子在川上曰、「逝者如斯夫。不舎昼夜」 『論語』子罕 鳰てるやなぎたる朝に見渡せば こぎゆくあとの波だにもなし 西行 ほのぼのと近江のうみをこぐ舟の あとかたなきにゆく心かな 慈円 今まで「 三夕の歌」で桑子敏雄さんの『西行の風景』を頼りに読んで…
・ 「この世の名残り、夜も名残り。死に行く身をたとふればあだしが原の道の霜。一足づつに消えて行く夢の夢こそ哀れなれ。 あれ数ふれば暁の、七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の、鐘の響きの聞き納め。寂滅為楽と響くなり・・・略・・・」 (やや長い…
第六段「芥川」 むかし、おとこありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来け り。芥川といふ河を率ていきければ、草の上にをきたりける露を、「かれは何ぞ」となんおとこに問ひける。ゆくさき多く…
「(一社)高麗1300」より抜粋 http://komagun.jp/ 霊亀2年(716年)、武蔵国に高麗郡(こまぐん)が置かれました。高麗とは、かつて朝鮮半島中北部から中国東北部を領有した高句麗(こうくり)を指します。 高句麗滅亡前後、多くの高句麗人が日本に移…
・ 我が家の放蕩息子が帰ってきた。 ハチである。 2週間ぶりにさまよったであろうその姿は痩せ衰え目には不安や怖れを湛えていた。 新約聖書、「ルカによる福音書」に登場する放蕩息子は親に分け与えられた財産を蕩尽して無様に帰宅したわけであるが、父親に…
. 墓標望郷とは喪失への慟哭もう戻ることはない戻る望みを喪失したエレジーはどう歌おうか日々のささやかな優しい喧嘩や諍いさえ手に負えず苦笑いましてや一人立ち尽くす久遠の汚染国望郷とは喪失への慟哭帰らざる故郷また夏が巡り来ての廃虚静まり返る油照…
・ 行く年や猫うずくまる膝の上 漱石 漱石のことだから猫の俳句があるだろうと調べてみたら直ぐ上の句が出てきた。 猫好き漱石は周知の事。 ネコっかわいがり!という慣用表現があるだけに我が国の猫愛好家は多い。 我が家では子供らがそれぞれ好きなペット…
・ 春風の山を吹き抜けあくる夜は 別れに手向く花ぞ咲きたり 新社会人の皆さんへ 巴琴 末男が4月入社に伴い社員寮への引っ越しをする。 この男は中学で登校拒否を起こした。 酷い教員集団と担任だった。 こんな所に入れたのは親の責任である。 上の兄が既に…